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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその二十五

「いいな」
「わかりました」
 モンサルヴァートも確かな声で頷いて応えた。
「それでは」
「その様にな、しかし」
「しかしとは」
「マウリアの国家主席は今はクリシュナータ主席だが」
 ギルフォードは今度はマウリアの国内の、国家元首の状況について話した。
「問題は次の国家主席だな」
「そういえばマウリアの国家主席選が近いですね」
「クリシュナータ主席は引退を宣言している」
 今期限りでというのだ。
「だからだ」
「それではですね」
「そうだ、次の国家主席が誰なのか」
「我々にも注目すべき件ですね」
「ジャバル副主席は必ず立候補する」
 ギルフォードは鋭い目になって述べた。
「私はそう見ている」
「先程お話したアウトカースト層の」
「そうだ、彼はだ」
「出馬されてですか」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「おそらく持ち前の政治力と知力、統率力にだ」
「カリスマもですか」
「そういったものを発揮してだ」
「当選しますか」
「彼は確かにアウトカースト層でだ」
 マウリアの被差別階級の者だというのだ。
「嫌う者も多い」
「ヒンズー教のカースト層の中で」
「そうだが」
 それでもと言うのだった。
「それ以上に支持者が多い」
「アウトカースト層に絶対のものを持っていて」
「それにだ」
「ヒンズー教以外の宗教の信者からですね」
「やはり圧倒的な支持を得ている」
 マウリアにあるヒンズー教以外の宗教の者達からもというのだ。
「そしてカースト層の中でもな」
「良識派とされる人達ですね」
「彼等はカースト制を肯定しつつもな」
「アウトカースト層の人権や権利拡大には寛容ですね」
「そうだ、否定派ばかりではない」
 ヒンズー教の者達でもというのだ。
「肯定派も多い」
「ジャバル副主席について」
「そしてアウトカースト層に同情的だ」
「ならですね」
「彼が立候補するとな」
「彼を支持しますか」
「そうなる、何よりも今マウリアに彼以上の人物はいない」
 ギルフォードは鋭い目になり述べた。
「ならばだ」
「選挙に勝つのは」
「ジャバル副主席だ」
 彼以外にはないというのだ。
「他にはいない」
「それ故に」
「選挙は何が起こるかわからない」
 文字通り投票結果が判明するまでだ、必ず当選すると言われていた有力議員の落選なぞこの時代でもざらである。
「そう言われているが」
「今回のマウリアの国家主席選については」
「既にだ」
「結果がわかっていますか」
「彼はヒトラーの様にだ」
 当時のドイツ国民の圧倒的支持を得た彼の様にというのだ。 
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