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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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第3部~希望と絶望の宝石~
  第24話『新世代、対策する』

ルーテシアとの戦闘の翌日、機動六課とチームディロードは警察庁の対策本部に招集されていた。
「あっ、火野さんさんに津上さん、それから剣崎さん達もいるんですね。」
スバルはびっくりした顔を見せる。
「みんな、忙しい中集まってくれてありがとう。今日集まってもらったのは、昨日起きたスカリエッティ一味による同時多発襲撃事件についてだ。チームディロードや火野さん達には証人としてきていただいている。」
クロノの言葉で会議が始まる。
「昨日、機動六課が少女を保護していた頃と同時刻、俺達の前に未知のトライアルシリーズが現れた。そのとき、トライアルシリーズはまるで剣崎のような言動を取っていた。」
橘はそのときの状況を説明する。
「俺の所に来た個体は真木さんみたいなことを言っていました。」
「俺の所に来たのは、あかつき号を襲ったアンノウンと同じ事を言っていました。」
映司と翔一も続けて説明する。
「すみません、トライアルシリーズってなんですか?」
スバルは剣の世界を知らないため、質問する。
「トライアルシリーズ、研究段階での名称は改造実験体。かつて俺と剣崎が勤めていた人類基盤史研究所、BOARDの理事長である天王寺が一人の研究者に極秘裏に依頼していた非人道的な研究の一つで、人間とアンデットの遺伝子を融合させて不死身の力を得る研究だ。トライアルシリーズの生成にはアンデッドの遺伝子と、融合させる人間の遺伝子が必要になる。」
橘はかつてトライアルシリーズの研究に携わっていたことから、その性質を説明する。
「橘さん、そうだとしたら俺を襲ったトライアルシリーズの説明がつきません。あのトライアル達は?」
「確かに、俺の所に来たトライアルはもうこの世にいない真木さんが元になっていますし、津上さんに関しては、そもそも怪人が元になっています。」
橘の説明に津上と映司が疑問を提示する。
「それについては、一つあり得ることがある。」
そこに雅が割り込む。
「雅国家象徴、知っているんですか?」
「おそらく、スカリエッティが用意したのは人造魔導師素体でしょう。生きた人造魔導師に剣崎さん達の遺伝子を移植して、それを改造したのなら、説明がつきます。」
映司の質問に雅は答える。
「それから、トライアルシリーズにはもうひとつやっかいな性質がある。それは、倒しても一定時間経過すると行動を再開するところだ。」
橘は説明を再開する。
「活動を再開って、どうやって倒せばいいんですか?」
「高威力の攻撃で消滅させれば、完全撃破が出来る。」
映司は更に質問し、橘は解決法を伝える。
「とにかく、スカリエッティにはトライアルシリーズを作れる技術力があること、それからトライアルシリーズを利用する目的は仮面ライダーへの妨害と考える事が出来る。」
雅は現状でトライアルシリーズに対する考察を述べる。
「俺達への妨害?」
「ええ、スカリエッティの有するガジェットドローンは魔法に対しては耐性を持っていますが、物理攻撃での撃破には弱いです。当然、戦闘機人以上の戦闘能力を持つ仮面ライダーの近接戦闘は計画の見直しになる可能性もある。それに対して、特定の威力での完全消滅以外に対策のないトライアルシリーズは相性がいいと考えての採用と思います。」
津上の質問に雅は答える。
「とにかく、スカリエッティが作ったトライアルは製作方法が異なることから、対策本部ではネクストライアルと命名することにした。それから、ネクストライアルの対処は剣崎さん達に任せたいが、大丈夫か?」
クロノは剣崎達に確認を取る。
「ああ、問題ない。」
クロノの言葉に剣崎は答える。
「次に、凪風国家象徴を襲撃したディロードと同じ姿をした怪人についてだが…」
「それについては、僕の方から直接説明します。」
クロノが次のページをめくりながら言うと、雅が説明を始める。
「あの怪人は自身をオルタディロードと名乗っていました。能力もディロードの能力を怪人用に調整したような仕様になっていました。そして、オルタディロードは僕の遺伝子を利用した人造魔導師を生み出して改造した怪人といえます。」
「凪風国家象徴、断言できる材料はありますか?」
「はい、オルタディロードは僕と同じく凪風流の武術を扱っていました。僕は構えや技を使うときに少しだけ我流の癖が出るのですぐに分かりました。それから、思考が子供の頃の僕と同じであることも、理由の一つです。」
クロノの質問に雅は説明しながら答える。
「それから、オルタディロードに関しては、僕に任せてほしい。」
雅は提案する。
「その件に関してですが、こちらで助っ人を用意しています。」
クロノが言うと、流夜が顔を見せる。
「兄貴、俺も協力するぜ。」
「流夜、どうしてここに?」
「こちらの方で以来要請しました。刑期の減刑と仮釈放を条件に。」
雅の疑問にクロノは答える。
「流夜が協力してくれるのは心強い。」
「そう言ってくれると嬉しいぜ。」
雅と流夜は拳をぶつけ合う。
「スカリエッティの目論見通りになるのは少々気に障るが、ネクストライアルの対処は剣崎さん達に、オルタディロードの対処は凪風国家象徴と流夜に、機動六課は引き続きレリック事件の捜査を。これで、今日の会議は終了だ。みんな、ご苦労だった。凪風国家象徴も、お疲れ様です。」
クロノの言葉で一同は解散する。
「それにしても、流夜が手伝ってくれるとは思わなかったよ。」
「俺だって、これからは真面目に生きようと思っているんだ。そのためならこれくらい構わないよ。」
廊下を歩きながら雅と流夜は話している。
「雅さんと流夜さん、仲が良いですわね。」
「まったくだ。あれが何年も前には殺し合うような関係だったなんて思えないよな。」
「家の跡継ぎなんてものが無ければ、本当はあれがあの二人のあるべき姿だったんでしょう。」
その後ろ姿をチームディロードは感心しながら見ていた。

ティアナ達が撤退していた頃、オルタディロードは戦闘機人ナンバー5、チンクと合流していた。
「チンクさん、俺なんかを迎えに来て大変でしょう?」
「気にするな、姉は好きでやっていることだ。一緒に帰還するとしても、おぶられるのと抱かれるの、どちらが良い?」
「どっも恥ずかしいです…」
「やらせてくれ、妹たちは恥ずかしがって避けようとするんだ。これも私に対しての手伝いだと思ってくれ。」
「分かりました。それなら、抱かれる方でお願いします。」
「そうか、姉に存分に甘えていいんだからな。」
チンクは小さな身体であるにも関わらず、オルタディロードを抱きかかえて、そのまま基地へ帰還する。

チンクとオルタディロードが帰還している頃、キャロからレリックの入ったケースを奪い取ったナンバー6、セイン達は通路を歩きながらレリックのことで話していた。
「ところでセイン、中身は無事だろうな?」
ナンバー3、トーレはセインに聞く?
「当たり前っすよ!」
セインはレリックのケースを開けるが、中身が入っていなかった。
「えっ、どういうことっすか!」
セインは想定外のことで驚く。
「もしかして、無機物潜行(ディープダイバー)を使ったときに落としたんじゃないの?」
ナンバー4、クアットロは馬鹿にするように言う。
「そんな器用なこと、出来ませんよ!それに、ちゃんと確認したんですから!」
セインは画像を見せながら怒る。
「ん?」
そんな中、トーレは一枚の画像を見る。
「馬鹿者!レリックはここだ!」
トーレはキャロの帽子の中のエネルギー反応を指さす。
「あっちゃー、そんなところに隠していたなんて。」
セインは平謝りでルーテシアに謝り倒していた。

凪風流の道場に着いた雅と流夜は向かい合う。
「刑務所に居て、鈍っていないよな?」
「兄貴こそ、平和ぼけしていないよな?」
雅と流夜は構える。そして、二人は変身すると組み手を合わせる。
「それにしても、よく稽古の相手に出てくれたな。」
「そりゃ、ディロードの相手を出来るのなんて、ディケイドである俺にしか出来ないだろ?」
「それもそうだな。」
二人は凪風流の武術をぶつけ合う。雅は事前に流夜に凪風流の武術を使うように話していた。オルタディロードが過去の自身であるということは凪風流の武術を扱えるため、積極的に使うように頼んでいたのだ。
「やっぱり、ディケイドは強いな。400年間で一度も勝てなかったからな。」
「おいおい、そう言っておいて人のこと殺したのはディロードだろ?」
「流夜はあれがディロードで、僕だと思うのか?」
「んなわけねーだろ!」
ディロードとディケイドは激しい攻防を繰り返す。
「凪風流、桃撃!」
ディケイドの攻撃をディロードは防御する。
「がら空きだ!凪風流、桜龍!」
ディケイドは続けざまにディロードに膝蹴りを放つが、
「その程度、ディロードの防御なら耐えられる!」
ディロードはその攻撃を受け止め、拳を放ってディケイドを攻撃する。

雅と流夜が稽古を組んでいる頃、オルタディロードは帰還して、スカリエッティの前に居た。
「頑張ったね、雅君。疲れただろうから少し休むといい。ウーノ、彼を寝かせてあげるんだ。」
「分かりました、ドクター。さぁ、こちらへ。」
スカリエッティの指示を受け、ウーノはオルタディロードを研究室に連れて行き寝かせる。そして、数時間経ちオルタディロードは目を覚ます。
「お体はどうですか?」
ウーノの穏やかな顔を見てオルタディロードは安心する。
「やあ、調子はどうかな?」
そこにスカリエッティもやって来る。
「博士、凄く動きやすいです。」
「君の戦闘データを元に、動きやすいように少し調整を加えたからね。」
「ありがとうございます。」
「まちたまえ、君にプレゼントがある。」
スカリエッティはオルタディロードに六枚のメダル状のアイテムと、そのアイテムを扱うのに必要な武装を渡す。
「それは君に、更なる力を与えるだろう。」
「これが、新たな力…」
オルタディロードは渡された武装、レリックゼットライザーを握りしめていた。
to be continued.

次回、仮面ライダーディロード
「次から次と!」
「ダメだ、倒してもきりがない!」
「二人がかりか…」
「「行くぞ!」」
「オルタディロード シータオルタライザー…」
次回『オルタライズフュージョン』希望を紡いで、すべてを救え! 
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