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星河の覇皇

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第八十部第五章 秘密兵器その三

 方陣は堅固だ、しかもだった。
「あの要塞がな」
「厄介ですね」
 ある巡洋艦の中で副長が艦長に言っていた。
「どうにも」
「そうだ、あれのせいでな」
「どうにもですね」
「攻めきれない」
 そうなっているというのだ。
「攻撃を受けるしな」
「射程に入れば」
「しかもだ」
「はい、ダメージを受けた敵艦が」
 その彼等がというのだ。
「要塞の中に入っています」
「修理を受けているな」
「そうなっていて」
 それでというのだ。
「非常にです」
「敵艦の損害がな」
「少ないですね」
「逆にな」
「我が軍は」
 オムダーマン軍はというのだ。
「どうにも」
「工作艦は多くあります」
 艦艇の修理を行うそれはというのだ。
「艦隊に。ですが」
「あそこまでの巨大な設備はな」
「ないですから」
「あの要塞がある分な」
「勝利は難しいですね」
「今回もか」
 苦い顔でだ、艦長はこうも言った。
「引き分けか」
「艦長はそう思われますか」
「負けはしない」
 それはないとだ、艦長は副長に話した。戦闘は続いておりオムダーマン軍からの攻撃は激しい。だがティムール軍に崩れる気配はない。
 その彼等を見つつだ、艦長は艦橋において副長に言うのだった。
「我々はな」
「それはないですね」
「前の会戦もこの前の会戦もこうだった」
 激しい攻撃を続けていて崩れていないというのだ。
「だからな」
「容易にはですね」
「崩れない、しかしな」
「それでもですか」
「ティムール軍もな」
 敵である彼等もというのだ。
「このままではな」
「崩れないですか」
「堅固な布陣とだ」
 方陣を連携よく配しているそれと、というのだ。
「そして後方の要塞だ」
「迂闊に近付くと攻撃してくるうえに」
「それにだ」 
「整備も補給もですね」
「受けているからだ」
 だからだというのだ。
「これまで以上にだ」
「崩れないですか」
「シャイターン主席も考えたものだ」
 実はシャイターンの不在はオムダーマン軍で気付いている者はアッディーン等僅かだ、シャイターン自身の軍であるティムール軍でも数える程しかいない。
「ここまでの布陣とだ」
「要塞も出すなぞ」
「これでは迂闊に攻められない」
「到底ですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。 
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