| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十部第四章 万能の天才その五十七

「それでもだ」
「溺れてはならない」
「そうしたことについて」
「幾ら利益を得ても」
「それでもですね」
「金なぞ何になるのか」
 ジャバルは富裕な家の出だ、金には困ったことがない。しかし金の価値は充分にわかっている男である。
 だがそれでもだ、こう言うのだ。
「無意味な贅沢に溺れるなぞだ」
「二流ですね」
「その時点で」
「左様ですね」
「そうだ、二流だ」
 まさにというのだ。
「それだけでな」
「例えどれだけ優秀でも」
「政治家として優れていても」
「それでもですね」
「そうだ、政治家は仕事をしてだ」
 国家そして国民に利益をもたらしていてもだ。
「どの職業でも言えるが」
「私利私欲に溺れずですね」
「例え多少懐を温かくしても」
「それでもですね」
「溺れてはいけないですね」
「溺れてはそれでだ」
 その時点で、というのだ。
「終わりだ」
「左様ですか」
「そうですか」
「それで」
「だからだ、私は国益を求める」
 政治家として、というのだ。
「アウトカースト層だが我々の利益だけ求めずだ」
「国家全体ですね」
「そして三千億の国民全ての利益を求めますね」
「バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ全員の利益もですね」
「求めますね」
「そうだ、特定の階層を敵視するなぞだ」
 そうした者はというと。
「革命を起こす勢力では多いな」
「左様ですね」
「そうした勢力も多かったですね、歴史的に」
「実に」
「それでどうなってきたか」
 革命、それの中でというのだ。
「知っているな」
「惨劇ですね」
「それが起こってきましたね」
「常に」
「フランス革命でもロシア革命でもな」
 一口に革命と言えば大義が立つ、だがその実はなのだ。
「それこそ階級の敵とされるとだ」
「殺されていきましたね」
「根拠もなく」
「そうなっていきましたね」
「そして多くのものが失われてだ」
 人名だけでなく、というのだ。
「そしてだ」
「そうしてでしたね」
「失ってから気付きましたね」
「人命も失われたものについても」
「血の宴の後で」
「ジャコバン派なぞだ」
 フランス革命の粛清の主役となった彼等はというと。
「まさに誰彼なしにだったな」
「階級の敵とみなし殺していました」
「王も王妃も」
「貴族達もでした」
「そして他の革命の敵とされた者達も」
「挙句は同じジャコバン派同士でも」
「そうだ、政敵を抹殺するにもだ」
 その場合もというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧