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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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義兄弟

<海上>

「アルルさん!昨日は生意気な事言ってごめんなさい!」
皆、眠りから覚め甲板上でそれぞれが鍛錬を行っている中、一人遅れて現れたマリーがアルルに近付き、元気よく昨日の非礼を詫びる。

「あ…う、うん…気にして無いわ…此方こそごめんね…」
思わず呆気にとられながら返答するアルル。
「うふ、良かった!アルルさんに嫌われてなくて!アルルさんに嫌われたら、お兄ちゃんにまで嫌われちゃうもん!」

アルルにとってマリーは『ちょっと我が儘な所があるお嬢様』と言う感覚だった為、それ程気にしてはいなかった。
だが一晩経ち屈託のない笑顔で接されると、昨日の自分の大人げなさと、今までのマリーへの評価が間違っていたと思い、申し訳なくなり必要以上に優しく対応してしまうのだ。


そんな仲の良い姉妹みたいな二人を、嬉しそうに眺めるリュカとウルフ…
そこに漠然とした違和感を感じているティミーが近付き、ウルフの腕を引っ張りリュカ達から少し離れた場所へと連れ出した。
「ちょ、何ですかティミーさん!?」
「ウルフ君…お前、マリーに何をした!?」

「な、な、な、何をって…何がですか!?」
ティミーらしからぬ、あまりにもストレートな質問に、焦りまくりで狼狽えるウルフ。
「マリーが何時もと違う!その…何て言うのか…凄く………可愛い!!」
「マリーは元から可愛いです!」

極めて間抜けな質問をするティミーを見て、先程の質問の意図する事が、夜の恋人同士の行いでは無い事に気付き、安心すると同時に情けない義兄に腹立たしくなるウルフ。
「いや、分かってるんだよ…マリーが可愛いのは…その…何て言うのかなぁ………何か…接しやすくなったって言うのか…う~ん…」

「ふう…ティミーさん、言いたい事は分かります…が、そう言う事は自身で感じて下さい!人から聞いて分かっても、意味のない事ですから…」
「つ、つまり…マリーに何かあったのは確実なんだな!?」
「そうです!何かあった事は確実です……ここ最近、俺とマリーは心を急成長させてます!それは互いが大切な存在であると、互いに感じているからです!何時まで経っても、アルルとの心の距離を縮められないティミーさんには、説明しても分からないでしょうけど…」
本来ウルフは尊敬する義兄に、こんな事を言いたくは無いのだが、わざわざリュカの側から自分を連れ出し、リュカの聞こえない所で話を切り出す姑息さに苛つき、思わずきつい口調になってしまう。

「な、何だよぅ…僕とアルルは関係ないだろぅ…」
バツが悪そうに俯き、手をモジモジさせるティミー…
「はぁ…妹の事ばかり気にしてるから、シスコンって言われるんですよ!折角アルルと恋人同士になったのだから、アルルの事だけを見ていれば良いじゃないですか!恋人同士になったからって、放っておきすぎですよ!」

「そ、そんな…放っておいてないよ!アルルの事も気にしてるよ!」
「違います!『アルルの事も』ではなく『アルルの事だけ』を気にして下さい!………気付いてないでしょうティミーさん…今日アルル、体調悪いですよ!」
「え!嘘!?」
アルルが体調不良と聞き、急に取り乱すティミー。

「嘘です!」
「な、何でそんな嘘吐くんだよ!」
「はぁ…本当に情けない人だなぁ…良いですかティミーさん!もし、アルルの事だけを気にして、常に見続けていれば今の嘘は問題なくなってるんです!」
「ど、どういう事…?」

「ティミーさんがアルルの事について把握していれば、俺の今の嘘はすぐバレます…取り乱す事など無いでしょう!仮に、俺の嘘が真実だった場合…つまり俺は知らなかったけど、実際に体調不良だった場合は、前もって分かっている訳ですから、今更取り乱す事も無いでしょう」
「た、確かに…」
年下に説教されて小さくなるティミー。

「…ティミーさん、アルルにエッチな事した事あります?」
「な…何だ藪から棒に!」
「やっぱり…ティミーさんに期待するのはムリか…ティミーさん、女性にエッチな事するのは悪い事と思ってませんか?」
「相手にもよるだろ!」

「そうです!リュカさんみたいに手当たり次第ってのは、流石に問題あると思います…けど、ティミーさんがアルルに対してやるのは、問題ないんですよ!分かってます?」
「え…でも…ふ、不謹慎だろ…重要な旅の最中になんて…」
ティミーは顔を真っ赤にして、両手をモジモジさせ俯く。

「そりゃ…戦闘中や真面目な打合せ中などは不謹慎でしょうが、それ以外の空いた時間は問題ないでしょう!もっとアルルとスキンシップをとった方が良いですよ…でないと『ティミーは私に魅力を感じてない』って、アルルに勘違いされますよ!」
「な!?アルルは魅力的だよ!取り消せ!!」
「俺が言ったんじゃなくて、アルルがそう感じるって言ってるの!…ったく、知るかよアルルの魅力なんて!俺がアルルの魅力について語れる方が問題だろ!」
断っておきますが、ウルフはティミーを尊敬しております…女性問題の事以外!

「ど、どうすれば良いの…?」
戦っている時には想像出来ないほど、情けない姿で年下に恋のアドバイスを乞うティミー…
ウルフも、自分の彼女の兄でなければ、ぶっ飛ばしてやりたい衝動に駆られる…

「はぁ~………きっとリュカさんだったら『取り敢えず押し倒せば?』って言うだろうなぁ…」
「ば、バカ言うな!そんな事出来るわけ無いだろ!」
「分かってますよ…まぁ押し倒すのはともかく、二人きりになったら胸でも揉んでみてはどうですか?」
「な!?そ、そんなヤラシい事…セクハラじゃないか!!」

「彼氏が彼女の乳揉んで何が悪いんですか!?アルルがティミーさんの事を嫌ってなければ、ハラスメント(嫌がらせ)にはなりません。…それとも嫌われてるんですか?」
「う゛~…多分、嫌われてないと思う…」

「嫌われてませんよ!アルルはティミーさんの事が大好きです!もっと自信を持って下さいよ!そして、もっと親密になる努力をして下さいよ!心の中で愛してたってダメなんです!もっと言葉に出して、態度に見せて、行動に移して…そうして気持ちが相手に伝わるんですからね!」
ティミーの情けない態度に苛つきながらも、尊敬する二人の仲が上手くいく様にと思い、声を荒げてしまうウルフ。
これではどっちが年上だか…

「う、うん…でも、嫌われてなくても…嫌がられたらどうする?アルルはエッチな男が大嫌いなんだよ…それが原因で嫌われたくないし…」
「その時はリュカさんを手本にすれば良いじゃないですか」
「えぇ~…父さんを~…」
ティミーの表情が、あからさまに嫌そうになる。

「そうですよ…リュカさんは良い手本です!…アルルの胸を揉んで嫌がられたら、口八丁で『ごめん!アルルの胸が魅力的だったからつい…』とか『アルルの温もりを感じたかったんだ』とか…」
「あぁ…なるほど…」
《この人本当にあの男(ひと)の息子か?本当に血が繋がっているのか?リュカさんの成分が1ミクロンも含まれてないぞ!?》
ウルフの思いを感じることなく、何やら決意を内に秘めアルル達の元へと戻って行くティミー…


この日の晩…
ウルフはマリーに、この出来事を話した。
するとマリーが「今頃、凄い事になってるかも!?」と、アルルの部屋へ社会科見学をしにウルフを連れ出す。
そしてアルルの部屋ドアの隙間から、マリーとウルフが見た物は…



それはまた別の機会で語りましょう…



 
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