| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

麗しのヴァンパイア

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四百三十六話

                第四百三十六話  薔薇の香り
 今田先生は朝に今日子先生の訪問を受けた、今日子先生は今田先生に会うなり微笑んでこう言った。
「薔薇の香りがするわね」
「お風呂に薔薇のオイルを入れたのよ」
 今田先生も微笑んで答えた。
「だからよ」
「香織ちゃんから薔薇の香りがするのね」
「今日はね」
「いいことね。やっぱり香織ちゃんにはね」
 今日子先生はにこりと笑って述べた。
「こうした日は」
「薔薇の香りかしら」
「他のお花の香りもいいけれど」
 それでもというのだ。
「今日の香織ちゃんにはね」
「薔薇ね」
「その香りが一番よ」
「そうなのね」
「ええ、それと私もね」
 今日子先生は今度は自分の話をした。
「どうかしら」
「桃の香りがするわね」
「お風呂に入ってね」
 そうしてというのだ。
「香水をかけたけれど」
「桃の香水なのね」
「それにしたのよ」
「今日の今日子ちゃんにもね」
 今田先生も笑顔でこう言った。
「とてもね」
「桃が合っているのね」
「ええ」
 そうだというのだ。
「そう思うわ」
「それは何よりね」
「お互い似合っている香りだからね」
「人の香りもね」
「日によって似合うものがあるわね」
「似合わないものもね、それでね」
「今日の私は薔薇で」
 そしてというのだ。
「今日の今日子ちゃんはね」
「桃ね」
「お互いそうね、じゃあね」
「似合う香りを楽しんでね」
「そうしながらね」
「一日を過ごしましょう」
「この日をね」 
 二人で笑顔で話した、そうして二人で朝食を食べた。その朝食もかぐわしい香りで覆われた心地よいものだった。


第四百三十六話   完


                2022・1・9 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧