| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

仮面ライダーAP

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第12話 ノバシェードの首領格

 
前書き
◆今話の登場ライダー

久我峰美里(くがみねみさと)/仮面ライダーEX(エクリプス)
 幼い頃から正義の味方に憧れていた気さくな人物であり、警視庁の警部でもある男装の麗人。仮面ライダーEXのスーツを装着した後は、高く飛び上がり、高速で縦回転しながらの踵落としで袈裟斬りにする「ヘルスラッシュ」を切り札としつつ、近接戦を主体に戦う。マシンGチェイサーに搭乗する。年齢は28歳。
 ※原案はマルク先生。

薬師寺沙耶(やくしじさや)/仮面ライダーヴェノーラ
 黒バイの幽霊隊員と呼ばれている一方で、潜入捜査官としての顔も持つグラマラスで妖艶な美人。仮面ライダーヴェノーラに変身した後は、蛇腹剣で付けた傷口からバイオナノマシンを投与する「ドラッグハック」を必殺技としつつ、EXをサポートしていく。マシンGチェイサーに搭乗する。年齢は25歳。
 ※原案は黒子猫先生。
 

 
 武田禍継。上杉蛮児。ノバシェードの幹部である2人が人類の軍門に降った以上、もはや組織の中枢には明智天峯――ゴールドフィロキセラしか残っていない。

「……禍継。蛮児。やはりあなた達も、私を置き去りにして行くのですね。何一つ救われぬまま謂れなき差別に苛まれ、この世を去った同胞達のように……」
「置き去りにされるのが嫌だって言うのなら、あなたも早く降伏しなさいッ! 今からでも間に合――あうぅうッ!」
「誰が好き好んで、己の生き方を自ら否定するのですか。……やはり、あなたはまだ子供だ。世の中というものが、綺麗事では回っていないことを知らない」
「くッ、うぅッ……あぁあッ!」

 しかし彼はそれでもなお、戦いを止めようとはしなかった。諦めることなく触手を振るい続けるゴールドフィロキセラの猛攻に、ライダーマンGは防戦一方となっている。
 扇情的なボディラインを露わにしている漆黒のスーツも、すでに傷だらけとなっていた。スーツが裂けた部分からは彼女の珠のような柔肌が覗いており、その瑞々しさがより際立っている。

「……確かに、私なんてまだ子供よ。それでも、許しちゃいけないことはあるッ! それくらい、私でも分かってるッ!」
「聞き分けのないまま、身体ばかりが育っている子供は始末に負えませんね。……では、もう一度その肌を晒して差し上げましょうか。今度はもう、隠せるものなどないでしょう?」

 それでもなおライダーマンGは抵抗の意思を示すように、右腕のパワーアームを振るい触手を弾いていた。そんな彼女の不屈の姿勢に痺れを切らしたゴールドフィロキセラは、再び彼女を辱めようと、スーツの裂け目に触手を伸ばしていく。

「……!」

 そこからスーツを一気に引き裂き、彼女が今度こそ抵抗出来なくなるような姿に剥こう(・・・)としていた――その時。何者かによる銃撃で、触手の動きを邪魔されてしまうのだった。
 着弾点から方角を予測したゴールドフィロキセラは、銃撃を受けた方へと咄嗟に視線を向ける。

「女の子相手にムキになって、それでよく『世の中』を語れるわね。……あなたの方が、余程『子供』じゃないかしら?」
沙耶(さや)さん……!」

 そこには、ライダーマンGを辱めようとしていた彼に静かな怒りを燃やす、グラマラスな女刑事が立っていた。Gチェイサーに跨る彼女の手には、火を噴いて間もない拳銃が握られている。
 黒バイの幽霊隊員と呼ばれている一方で、潜入捜査官としての顔も持つ薬師寺沙耶(やくしじさや)。彼女は、ライダーマンGこと遥花とは旧知の仲なのだ。

「沙耶さん、来てくれたの……!?」
「ハァイ、待たせたわね遥花! 私が来たからには、もう大丈夫よ。今のうちに、少しでも身体を休めておきなさい!」

 肌に隙間なく密着し、極上のボディラインを露わにしているライダースーツを纏った、規格外にグラマラスな絶世の美女。
 彼女は顔馴染みの少女戦士に妖艶な笑みを向けた後、鋭い眼光でゴールドフィロキセラを射抜いていた。完膚なきまで叩き伏せてやる、と言わんばかりに。

「おやおや、随分とお美しい方が来たものだ。あなたもその綺麗な肌を傷物にしたくなければ、大人しく下がっていた方が賢明ですよ」
「あら、見かけによらず優しいのね。……でも、心配はいらないわ。あなた如きが好きに出来るような安い肌なんて、持ち合わせてはいないもの」

 そんな自分に呆れた声を漏らすゴールドフィロキセラに対し、沙耶は微笑を浮かべている。だが、その眼だけは全く笑っていない。側から見ているだけのライダーマンGですら悪寒を感じてしまうほどに、彼女の眼は冷たく研ぎ澄まされているのだ。
 やがて彼女は拳銃を腰のホルスターに収めると、おもむろに胸元のファスナーを下ろし始めていく。その白く豊穣な乳房が、ライダースーツから零れ落ちる寸前まで露わにされた時には。はち切れそうな胸の谷間から、ボンテージ型の「変身ベルト」が覗いていた。

「……変身ッ!」

 やがて、彼女がその一声と共に指先を伸ばした「ポーズ」を決め、ばるんと巨峰を弾ませた瞬間。認証登録されていた動作と声紋に反応した変身ベルトが、眩い輝きを放ち彼女を「仮面ライダー」へと変身させていく。

 「仮面ライダーキバーラ」を想起させる外観を持つ女性戦士が現れたのは、その直後だった。キバーラの白と黒の部分に当たる色は反転しており、青い部分は紫紺に統一されている。さらに小悪魔の尻尾や鉤爪付きのガントレットに加え、グリーブ部分にも追加装甲が施されていた。
 鞭の如く一振りの蛇腹剣をしならせている彼女の名は、「仮面ライダーヴェノーラ」。薬師寺沙耶が変身する、バイオテクノロジーの実験機を兼ねたライダーシステムの試作機であった。

「沙耶、遥花お嬢様は無事かい?」
「遅いですよ、美里(みさと)警部。危うく先に始めちゃうところでしたよ?」
「済まなかった。このスーツ、旧式なだけあって起動に時間が掛かってしまってね」

 さらに、変身した彼女の側にもう1台のGチェイサーが駆け付けて来る。そこに跨っていたのは、中性的なラインを描いたボディを持つもう1人の「仮面ライダー」だった。
 沙耶の上司にして、男装の麗人でもある久我峰美里(くがみねみさと)警部。彼女が装着している「仮面ライダーEX(エクリプス)」のスーツが、ようやく実戦レベルまで運用出来るようになったのだ。

 「シャドームーン」に近しいシルエットを持つ、漆黒の装甲と真紅のアンダースーツ。肘と踵に備えられた強化装具の刃。
 その鋭利な容貌からは攻撃的な印象を受けるが、実際は開発計画の最初期に製造された「旧式」なのである。低予算故に装甲が少なく防御力が低いという欠点があり、他の技術系統から生まれた試作機(ライダー)にコンペティションで敗れて以来、倉庫で埃を被り続けていた不遇の鎧なのだ。
 しかし、そんな曰く付きだったこのスーツも。正義の味方を志す美里の相棒として、此度の戦いに使用されることになったのである。装甲の薄さ故の、動作の素早さは本物なのだから。

「遅ればせながら、僕達も加勢させて頂きます。お嬢様、よろしいですね?」
「う、うん。美里さん、沙耶さん……気を付けてね!」
「分かってるわ、遥花。あなたの責任感の強さはよく知ってるけど……たまには、お姉さん達にも頼ってちょうだい。私達だって、あなたと同じ『仮面ライダー』なんだから!」

 同性でも思わず見惚れてしまうような、長身痩躯の男装の麗人は。仮面越しにライダーマンGに向けて爽やかな笑みを浮かべた後――素早く地を蹴り、肘の刃でゴールドフィロキセラに斬り掛かっていく。

「さぁ、僕達の実力……ご覧に入れようか、ノバシェード!」
「明智天峯……お仕置きの時間よ!」

 ヴェノーラも同時に蛇腹剣をしならせ、その変幻自在の刃で怪人の触手を斬り払っていた。2人の女刑事が繰り出す、流麗かつ素早い連続攻撃。その斬撃の嵐が、ノバシェードの首領格を激しく責め立てて行くのだった。

「……困った方々ですね。自分達の方から、傷物になりに来るとは」
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧