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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第八幕その十

「京橋という地名もね」
「大阪ならではだね」
「そうだよ、大阪にいたら」
「もう橋由来の地名はだね」
「触れないことはないよ」
「日本橋とか天満橋もだよね」
「うん、あとね」
 先生はここで、でした。
 住吉大社についてです、王子に言いました。
「住吉大社も海の神様を祀っているね」
「須佐之男命だったね」
「日本の神話で一番有名な神様の一柱だね」
「あの神様をだったね」
「昔はあの近くまでだよ」
「海があったんだ」
「そうだったからね」
 だからだというのです。
「あの大社もね」
「海と縁があって」
「そう、大阪はだよ」
「水の街だね」
「水の都と言われるんだ、ただ織田作さんは」
 この人はといいますと。
「大阪は木の都と言っていたね」
「木が多いかな」
「お寺や神社も公園も多いね」
「だからなんだ」
「木は決して少なくないよ」
「それで昔はなんだ」
「とりわけね」 
 この時はというのです。
「木が多くて」
「木の都だったんだ」
「織田作さんはそう呼んでいたよ、その作品でね」
「木の都だから」
「そうなんだ、しかし何といっても」
 先生は笑顔でお話しました。
「お水だよ」
「大阪はだね」
「水の街だね」
「川に海に堀にで」
「それで橋の地名も多いんだ」
「そういうことだよ、ヴェネツィアが水の都というけれど」
 それでもというのです。
「大阪もなんだ」
「そうだね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「橋も多いんだ」
「ヴェネツィアゴンドラで行き来するけれど」
「大坂は橋だったってことだよ」
「成程ね」
「そして町人の街で」
「飾らないんだね」
「そうだよ」
 先生は笑顔でお話しました。
「この街はね」
「お水が多くて飾り気もない」
「大坂はそこもいいよね」
「本当にそうだね」
「全く。こんな街にいたら」
 先生は笑顔のままさらに言いました。
「離れられなくなるよ」
「僕もそう思うよ、神戸もいい街だけれど」
 王子は今暮らしている街のお話もしました。
「けれどね」
「それでもだね」
「大阪は魅力的過ぎて」
「離れられないね」
「一度来たらね」
「それが大阪だよ、だから織田作さんも」
 この人もというのです。
「大阪を終生愛していたんだ」
「そうだね」
「そう、だから」
 それでというのです。
「大阪を終生愛していたんだ」
「そうだね」
「だからここにも来ていたと思うよ」
「京橋でもだね」
「そう思うよ」
 こう言った時にでした。
 ふとです、先生にでした。 
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