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私はいじわる 小悪魔が住みついた

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3-⑻

 香菜ちゃんと連れ立って歩いていたら、鈴花ちゃんが後ろから

「ウチも連れてって― いいでしょう」と、言って追いかけて来た。

 病室に入ろうとしたら、女の子が昂君に覆いかぶさるようにして・・見えてしまった。

「ダメッ 真珠 先に、トイレ いこー」と、鈴花ちゃんが、咄嗟に私を引っ張っていた。でも、見えてしまったのだ。確か、蘭ちゃんだ。

「いいよー ウチ あんなの いこー」と、私は、強がり言って居たつもりだ。そんなとこを、蘭ちゃんは病室の中から見ていて、ウチ等に気が付いたみたいだった。自分の髪の毛を整えていた。

 鈴花ちゃんは、さっさと進んでベッドの横に行って

「昂 ひどい姿ね なにやってんのよ でも、わけのわかんない女の子がお見舞いだかなんだか来てくれていいわねー」と、その時、私は、鈴花ちゃんの袖を引っ張っていたのだけど

「チョットー わけのわからないって何よー」と、蘭ちゃんは言い返していたのだ。

「あらっ あんた 居たの― ふーん」と、又、輪をかけて

「ずーと 居たわよー 昂君のお世話しようと思って・・だけど、もう、帰るわ バレー教室の練習あるから」

「あら そう お嬢様は習い事で大変ですことね お忙しいんでしょうから 無理なさらなくても、良いんじゃあないの ウチ等が毎日来るから、明日からは、習い事をしてくださればー もう、来なくても、大丈夫のことですわよー」

 蘭ちゃんは、急いで荷物を抱えて、鈴花ちゃんを睨みつけながら帰って行った。私だったら、表に出て泣いていたかも知れない。

「鈴花 言い方 きついんじゃぁないか」と、さすがに、昂君も

「なに言ってんのよ あいつは、自分ちがお金あるもんだから、自慢しているのよー いつも・・ 昂も、うっとおしいんじゃぁないのー 昂もはっきりしろよー」

「そうなんだけどなー なんかナァー 鈴花はきついのー」

「昂君 今日ね 算数のテストあったの 預かってきているので 先生が答え書きこんで提出しなさいって」と、私は、追い打ちをかけるように・・

「あの先生も俺をゆっくり休ませてくれないのか―」

「あのねー 出さなくても良いよって言ってたわよ」

「うーん 考えとく 香菜ちゃん 俺が 居ない間 真珠が転ばないように見て居てやってくれよな」

「えー そんなこと言われても・・ 昂君が居ないと、後ろ不安だよね」

「そうかー 香菜ちゃんも そんな風に言ってくれるのに 真珠はせいせいしたって」

「昂君 ウチ そんなこと言って無いやんかー なんてことを・・」

「うふふっ 香菜 もう、ふたりにして帰ろうか ノート説明するんだろうから 真珠は」

「そうだねー お邪魔かもしれんからね」

「鈴花 帰る前に頼みあるんやけど」と、昂君が鈴花ちゃんに

「なんやー 急に・・」

「あのなー 寝ているせいかな さっきから 背中痒いくて・・ ちょっとかいてくれ」

「なんで ウチなん 真珠に頼みーやー」

「いや 真珠やと ちょっとなー 鈴花のほうが意識しないからなー 頼む」

「なんやねん その言い方 ウチのことなんや思ってんね ウチも女の子やでー ウウーン どこやー」と鈴花ちゃんは昂君のパジャマの背中を出して、掻きむしるようにしていった。

「痛いよー もっと 優しくしろよー もう いい」

「なんだよー 頼んでおいて― 次からは、真珠に頼むんやで―」と、二人は帰って行った。

 その後、何を話すでもなくしていると、夕ご飯ですよと運ばれてきた。

「えぇー 早いやん こんな時間」

「そや 早いねん 病院ではな」

「昂君 ウチの手で まずいのん 食べてくれる?」

「ウン 頼む」と、言ってきたので、口元に持って行ったりしていると、向かいのベッドの人が

「昂君 女の子にもてるのう さっきの女の子も 何かと世話をやいていたな―」高校生ぐらいの男の人。どこが悪いのか元気そうな人だった。

「そんなことないですよー たまたまです こいつは昔から近所なもんで・・」

「昂 ウチってこいつなん? さっきは、たまたま蘭ちゃんとキスしてたん?」

「お前 なに言ってん キスって」

「見たんよ 来た時 蘭ちゃんが 昂君に・・」と、私、涙が出てきていた。

「お前 バッカじゃぁない 何か かん違いしてないかー あー それで、鈴花が・・怒っていたのか― 蘭ちゃんが、カーディガンを持って来てくれて、寒いだろうからって、掛けてくれていたけどな― そん時かー それで なにかー?」

「そっ そーなのー ウチ てっきり だって、鈴花も・・」

「そんなことばっかり考えてるからだよー お前等」

「そんなん・・ 早く 食べちゃってよー この後、テストするんだからね!」

「お前 何 怒ってんだよー」

「だから お前って 嫌だって言うの!」

「わかったよ おい 一口が多すぎるッて―」
 
「あーあ 口のまわりを汚しちゃって 赤ちゃんみたい」

「無理やり、突っ込むからだよー ・・真珠が」

「あーあー ウチが悪うございました! ねえ、なんか、飲みたい? お絞り濡らしてくるから、一緒に買ってくるよ」

「いや 水でいい」

 私は、お絞りを絞って戻ってきて、「よせよ」って言っている昂君の口の周りを拭いてあげて

「こんどは、算数のテスト するんだからね」

「わかったよ そのかわり、俺が答えるから、真珠が書いてくれ 右手痛いんだからな」

「うん それなら 出来るよね」と、受け答えしていると

「君達 やっぱり、仲がいいんだなぁー 似合っているよー」と、向かいのお兄さんが・・。私は、その言葉ですごく恥ずかしくなって・・その後はぎこちなかった。

「あのね 昂 背中掻くぐらいだっら ウチにも できるよ もっと 爪立てるかも知れないけどね」と、帰り間際に言ったら

「ウン わかった 覚悟しとくよ」

 私は、向かいのお兄さんに

「明日も きまーす よろしく」と、言って出て来た。やっぱり、昂君のこと好きなんかなーと思いながら 




 
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