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コーヒーは自分で煎れる

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第二章

「それで、ですか」
「ええ、自衛隊はもう何でもね」
「自分のことはですね」
「自分でする場所でね」
 それでというのだ。
「上官の人のものもね」
「することがあるんですね」
「やっぱり縦社会だからね」
「そうしたこともあるんですね」
「上官の身の回りのことを当番でしたりね」
「そうしたことがあるんですね」
「それで船だとね」 
 万里子はさらに話した。
「軍艦ね」
「課長さん海上自衛隊でしたね」
「それで護衛艦に乗っておられたらしいけれど」 
 それでもというのだ。
「幹部、他の国の軍隊で士官の人達の食事やコーヒーのお世話をね」
「する当番もあるんですね」
「何かそこで嫌いな幹部の人のコーヒーに洗剤入れたり雑巾の絞ったお水入れたり」
「えっ、酷いですね」 
 睦実は万里子のその話に思わず引いた顔になって応えた。
「そんなの飲んだら」
「身体壊してもおかしくないわね」
「そうですよ」
「それでもね」
「そんなことする人がいるんですね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「課長さん多分そうしたものをご覧になられて」
「それで、ですか」
「自衛隊仕込みでね」
 それと共にというのだ。
「そうした現実もね」
「ご覧になられて」
「そうされてると思うわ」
「そうですか、怖いですね」
「人に任せると楽だけれど」
「任せる人によってはですね」
「そんなこともされるから」 
 だからだというのだ。
「怖いわね」
「そうですね、私も自分のことは自分でします」
「私もこのお話聞いてそうしてるからね」
「課長さんみたいにします」
 自分のことは自分でと言ってだった。
 そうして実際にだった、睦実は自分のことは自分でする様にした。それは万里子もだったが。
「課長さん本当に絶対にですね」
「コーヒー自分で煎れられてるわね」
「ご自身のことはご自身でされて」
「やっぱり自衛隊でそういう現実見てきたわね」
「そうですよね」
 その小此木を見てだった。
 二人はわかった、彼が自衛隊で何を見てきたのか。


コーヒーは自分で煎れる   完


                  2022・2・18 
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