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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第四幕その七

「あのライオンは絶滅したと思われていましたが」
「実はモロッコ王が飼育していまして」
「それで今現在繁殖が行われていますね」
「そしてです」
 そのうえでというのです。
「日本でも行うことになって」
「それで、ですね」
「はい」
 まさにというのです。
「我が動物園でもです」
「そうなりましたね」
「それで暫く動物園のスタッフ全員が忙しいです」
「受け入れと飼育準備にですね」
「何しろ極めて稀少な生きものなので」
 これまで絶滅したと思われる位にです。
「ですから」
「それで、ですよね」
「準備とその後もです」
「飼育が軌道に乗るまで」
「それで暫く忙しいので。休日もです」
 こちらもというのです。
「どうなるか」
「わからないので」
「ですから」
 それでというのです。
「残念ですが大阪は」
「そうですか」
「バーバリーライオンが来ることは嬉しいですが」
 日笠さんは目に見えて落胆して言いました。
「ですが」
「それでもですか」
「大阪に行けなくなりました」
「また機会があります」
 先生は落胆する日笠さんを気遣って言いました。
「ですから」
「それで、ですか」
「また行きましょう」
「わかりました」
 日笠さんは落胆しきってでした。
 先生と一緒にお茶を飲んでそのうえで動物園に戻りました、動物の皆は先生と一緒にその日笠さんを見送ってから言いました。
「残念だったね」
「本当にそうだね」
「日笠さんにとってはね」
「折角先生と大阪と行くことになったのに」
「それがね」
「本当に残念だったね」
「全くだね、けれどね」
 先生はそれでもと言いました。
「バーバリーライオンが来ることは素晴らしいよ」
「ああ、先生はそう言うんだ」
「先生らしいね」
「本当にね」
「そのことはいいとして」
「ただね」
 それでもとです、動物の皆は言いました。
「そうしたことじゃないんだよ」
「先生はやっぱりわからないね」
「日笠さんがどう思ってるか」
「そのことが」
「どういうことかな」
 わからないまま応える先生でした。
「一体」
「まあ気付かないと思っていたから」
「だからいいけれど」
「それならそれでやり方があるから」
「日笠さんはしっかり言ったし」 
 先生と大阪に一緒に行くことにしたというのです。 
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