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ハッピークローバー

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第十一話 合コンその十

「自己中はいても」
「極端だよな」
「お兄ちゃんも会ったことないでしょ」
「そんな婆さんがいたって聞いた位だ」
「物凄い因業婆さんね」
「だから親戚で集まってもな」
 この時もというのだ。
「誰も話しかけないし顔も向けない」
「徹底して無視されてたのね」
「親戚で揉めると絶対に一方にいたらしいな」
 揉める側のというのだ。
「ヒス起こして喚き散らして常に敵が必要だったらしいな」
「物凄くやりにくい人ね」
「この人は極端だけれどな」
「極端過ぎるわね」
 留奈はここまで聞いてこう言うしかなかった。
「流石に」
「ああ、けれど嫌ったらな」
「嫌われるってことね」
「それでその婆さんはな」
「皆から嫌われていたのね」
「そうだったらしいな」
「そんな人親戚にいなくてよかったわ」
 留奈は今しみじみと思った。
「いや本当に」
「あのおっちゃんも大概だろ」
 雅之はここでこう言った。
「興毅のな」
「ああ、あの馬鹿ね」
 その名前を聞いてだ、留奈は心から軽蔑しきった声で出した。そこには紛れもない全否定が存在していた。
「あいつまだ生きてるし」
「元気だろ」
「さっさと死んで欲しいわ」
 またしても心から言った。
「あいつは」
「俺も同感だよ」
「それであの馬鹿よりもね」
「その婆さん酷いみたいなんだよ」
「ちらっと聞いて思ったわ」
 留奈にしてもだ。
「本当にね」
「あのおっちゃんでもな」
「自分以外皆大嫌いでヒス持ちでよね」
「揉めごとの一方に絶対いたらしいからな」
「よっぽど喧嘩が好きだったのね、そのお婆さん」
「みたいだな」
「あの馬鹿もそこまでいかないし」
 その親戚もというのだ。
「お酒にギャンブルに風俗にで」
「最低だけれどな」
「そのお婆さんは最低からね」
「さらに酷いな」
「そう思ったから」
 だからだというのだ。
「そんなのじゃなくて」
「本当によかったな」
「ええ、とにかく出来るだけ人は切らないことね」
「嫌うとな」
「相手も嫌うのね」
「それで逆にな」
 雅之はこうも言った。
「相手を好きだとな」
「相手の方もなのね」
「自分を好きでいてくれたらそれだけで嬉しいだろ」
「ええ、本当にね」
 その通りだとだ、留奈も答えた。 
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