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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第三幕その四

「日本ならではだよ」
「まさに日本だからこそ」
「それで生まれるセンスだよね」
「日本古来のものに西洋を加えた」
「そうしたものだね」
「喫茶店が好きだったらしいよ」
 そうでもあったというのです。
「そこに入ってコーヒーを飲むのがね」
「それも織田作之助さんだね」
「ハイカラね、当時で言うと」
「流行もわかっていて」
「その中で生きていたのね」
「バーに行っていたと言ったけれどどうもお酒は苦手だったらしいんだ」
 その実はというのです。
「これがね、それでね」
「甘いものだね」
「お酒が苦手となると」
「そっちだよね」
「そっちの人だったのね」
「だから作中でもね」
 こちらでもというのです。
「自分がモデルみたいなニコ狆先生の主人公が言ってるよ」
「お酒が飲めないっていうんだ」
「そう言っていたんだ」
「その実は」
「そうだったのね」
「そうだったんだ、実はね」
 織田作之助はというのです。
「それでお酒よりもね」
「甘いものが好きで」
「コーヒーをよく飲んでいて」
「それでなんだ」
「甘いものが好きだったんだ」
「だから善哉も食べていたんだ」
 この日本の甘味もというのです。
「実はね」
「成程ね」
「そうなんだね」
「夫婦善哉にはそうした事情もあったんだ」
「甘いものが好きだったっていう」
「そうだろうね、ただ煙草を吸っている写真もあるけれど」
 このことについても言う先生でした。
「結核にはね」
「よくないですよね」
 トミーが言ってきました。
「やっぱり」
「当時はそれでも吸ってる人が多かったけれどね」
「煙草は肺に悪いですからね」
「身体全体に悪いけれどね」 
「肺には特にですよね」
「悪いからね」
 だからだというのです。
「それはよくなかったよ、ただ若しかしたら」
「どうしたんですか?」
「そのニコ狆先生で煙草も吸わないって言っていたから」
 だからだというのです。
「若しかしたらね」
「実はですね」
「煙草もね」
「吸っていなかったんですね」
「ただのハッタリみたいなものでね」
 それでというのです。
「吸う様な写真を見せていただけかもね」
「知れないんですね」
「そうも思うよ」
「そうですか」
「当時は煙草を吸うのも粋だったしね」
「ファッションの時代もありましたね」
「だからね」
 その為にというのです。
「そうした風にね」
「見せていたかも知れないですね」
「本当に生粋の大阪人でね」
「都会で生まれ育ったので」
「粋でもあったからね」
「お洒落で」
「そう見せていたかもね」 
 こう言うのでした。 
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