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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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16-⑻

 そして、私は、今のナカミチに足りないもの 感じていた。食後のデザートだ。私は、やっぱり晋さんに相談してみた。

「今はね、出来合いの物が多いと思うのよ なんか、ナカミチオリジナルのスイーツ欲しいのよ 子供さん向けのものは、ちょこちょこあるんだけどね」

「店長 デザートが出るようになると、滞留時間が伸びて、特にお昼時間なんて、回転が悪くなる恐れありますよ」

「そーだよね だけど、お客様には、最後まで満足してお帰りいただきたいわ」

「じゃぁ 比較的余裕のある夜の部だけにしたらどうでしょうかねー 場所的に、ここは、スイーツ目当てのお客様の需要は低いと思いますから」

「そうね だったら、スイーツメインのお食事をメニューに加えるってのは、どうかしら 女性はそれを選ぶかもよ」

「わかりました やってみましょう 提案ですが、武と佳乃ちゃんに試作させるってどうでしょう あの二人は料理学校で基礎は勉強していると思うんです 佳乃ちゃんなんかは若い女性目線があるし・・ 二人とも、若いから、僕なんかより発想が自由だと思いますが」

「うん 二人に話してみるわ」

 そして、私は二人にその話をした。

「最初は、それぞれが考えてちょうだい そして、絞り込んだら協力してお願いね 一つは、スイーツメインの食事メニュー もう一つは、食事のあとのデザート」

 次の日、清音が野菜を持って武君を訪ねてきていた。

「お前んちの、この人参は人参臭さがなくって甘いんだよ だから、これでスイーツを考えようと思ってな」

「これは、木下さんが作ってるんだー 自慢してるよ」

「そうか お前も、早くこんなの作れるようになれよ 使ってやるから」

「大きなお世話よ そのうち、頭下げて使わせてくださいって、言わせるからね」

 それを聞いていた私が、晋さんに

「あの二人 いつも、あんな風に言い合って 仲悪くないはずなのにね」

「ええ そのうち、なるようになるんじゃぁないですか」

「そう なるようにねー 晋さんもなるようになるのー?」

「ええ そっそうですね なるようにならせるようにしてみます」

 ついに、晋さんも光瑠と覚悟したんだと思っていた。そして、しばらくして、二人は試作を重ねながら、協力して絞り込んでいるみたいだった。

 そして、出来上がったので、食べてみてくれと言われた。お店のみんなが集まって、試食会を始めた。

 粗目のドーナツ型のスポンヂケーキの真ん中に向こう半分に苺とキューイが乗っていて生クリームをあしらっていて、手前にはキャロットの生クリームでストライブのリボンの形になっている。食べるともっと、私はびっくりしたのだ。スポンヂケーキの半分は、コクのあるキャラメルシロップを湿らせてあった。そして、もう一つのお皿には、楕円状のミートコロッケで切ると中からチーズが溶け出してきた。

「すごいよ 武君 見た目もいいし、食べて行くといろんな味も楽しめる。良いと思う どう 晋さん」

「うん 良いよ これは、女性 喜ぶと思う ちょっと 手間かかりそうだけどな でも、店長は絶対にこれをやれって言うんでしよ」

「うん お願い 私 絶対良いと思う お客様の嬉しそうな顔が浮かぶわー」

「このリボンの形にしたのは、佳乃ちゃんの提案です。最初は波型にしただけだったんですけど」と、武君が言ってきた。

「そう やっぱり 二人でいろいろ考えてくれて、ありがとう」

「それで ディナーの後のデザートはシンプルに キャロットのチーズケーキと苺のキャラメルケーキを考えたんですが、シンプル過ぎますかねー」

「ううん 私も、そっちは、シンプルのほうが良いと思う とりあえず やってみて、反応みようよ それで、又、考えれば良いんだもの なんか、楽しみだわ」

 そして、早速、翌週からメニューに加えた。そうすると、若いカップルの女性のお客様は必ずといっていいほどオーダーしてきた。そして、インスタにも載せてくれて、それを見た人という人もチラホラと来店してくれる人も増えてきたのだ。

「武君 ありがとうね 清音のところのを、使ってくれて・・」と、お礼を言ったら

「いやー あれは・・うまいと思ったから・・ 別に、意識してないですよ 特別に・・ でも、頑張ってくれれば・・俺も 頑張れます」と、ボソっと返してきた。

 晋さんが言っていたように、なるようになっていくのかなって、その時、感じていたのだ。

 
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