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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第一幕その八

「僕はその執念には心服しているよ」
「結核で命の火が消えそうになっていて」
「それでもヒロポン打って」
「それでもなんだ」
「必死に書いていて」
「最後の最後までだね」
「書いていたんだ、作品の取材に東京に行って」 
 大阪からです。
「そこで太宰治や坂口安吾と対談して酒場にも行ったよ」
「ああ、あの走れメロスの人だね」
「太宰治っていうと」
「あの人と対談もしていたんだ」
「大阪から東京に来て」
「それでなんだ」
「そうしたこともして」
 そしてというのです。
「遂に物凄い喀血をしてね」
「ああ、病院に担ぎ込まれたんだ」
「そうなったんだ」
「それで入院して」
「それでなんだ」
「そう、本当にね」 
 実際にというのです。
「東京で亡くなったんだ」
「ううん、壮絶だね」
「何ていうか作家の生き様だね」
「結核なのに書いて」
「ヒロポンまで打って」
「それで東京に取材に行って亡くなるとか」
「これこそ作家さんだね、それで大阪に帰ってね」
 亡くなってそうしてというのです。
「そしてね」
「お葬式が行われたんだね」
「そのうえで今はだね」
「大阪に眠ってるんだね」
「そうなんだね」
「上本町のお寺にお墓があるよ」
 そこにというのです。
「大阪のね」
「大阪で生まれて大阪で育って」
「そして大阪に生きて」
「今も大阪におられるのね」
「そうだよ、生粋の大阪の人なんだ」 
 織田作之助という人はというのです。
「今で言う大阪の天王寺区に産まれて難波や千日前に親しんでいたんだ」
「ああ、だからだね」
「難波のお店が作品に出るんだ」
「そうなんだね」
「そしてそのお店にもね」
 難波のというのです。
「皆で行こうね」
「うん、わかったよ」
「そうしていこうね」
「フィールドワークの時にね」
「そうしようね」
「皆でね」
 笑顔で言う先生でした、皆でそうしたお話をしましたが。
 夜になってです、トミーは先生にこう言いました。
「日本も色々な作家さんがいますね」
「そうだね」
「最近日本は文学も世界的に注目されていますが」
 晩ご飯を食べながら言います、今夜のメニューは鰹のたたきにもずぐの酢のものに大根と若布の和えものに貝類のお味噌汁です。
「その人もですね」
「注目されていいと思うよ」
「そうですよね」
「夏目漱石や太宰治が有名だね」
 日本文学といえばです。 
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