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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第一幕その七

「今なら言えるわ」
「イギリスでも当時アヘンとかコカインは合法だったけれど」
「実害多かったね」
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「覚醒剤はそのアヘンやコカインより悪影響酷いし」
「やるべきじゃないね」
「非合法になってよかったね」
 老馬も思うことでした。
「本当に」
「今はそう思うよ」
 先生もでした。
「麻薬その中でも覚醒剤はね」
「駄目だよね」
「手を出したら」
「もうそれで破滅するから」
「絶対にね」
「そう、手を出すなんて」
 それこそというのです。
「自殺することと同じだよ」
「本当に身体も心もボロボロになって死ぬしね」
「常用していて長生きなんて絶対に出来ないよ」
「一回打って一週間寝ないで済むって」
「いつもならどうなるか」
「考えるまでもないから」
「僕はお酒は飲むよ」
 先生はこちらは大好きです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「先生煙草吸わないし」
「ましてや麻薬なんてね」
「とてもだよ」
「手を出したら駄目だよね」
「冗談抜きで破滅するからね」
 このことがもう明らかだというのです。
「だからね、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと」
「どうしたの、先生」
「当時は合法だったんだ」
 覚醒剤つまりヒロポンを使うことはです。
「あくまでね」
「だから使ってもよかったんだ」
「織田作之助さんにしても」
「ヒロポンつまり覚醒剤使ってたんだ」
「それでもよかったんだ」
「煙草屋で打っていて」
 それでというのです。
「それで買って結核で死にそうな身体にね」
「ヒロポンを打って」
「あえて鞭打って」
「それで書いていたんだ」
「作品を」
「終戦から亡くなるまで。昭和二十二年になってすぐに亡くなったけれど」
 それでもというのです。
「その間が特に作品が多いんだ」
「終戦からっていうとね」
「昭和二十二年になってすぐだとね」
「一年半位しかないけれど」
「その間にどんどん書いていたんだ」
「数多くの作品を」
「本当に結核が進行してね」
 それでというのです。
「床に伏していても不思議じゃなかったけれど」
「書いていたけれど」
「それはどうしてか」
「ヒロポンを打ってなんだ」
「それで身体に無理に元気出させて書いていたんだ」
「ある意味凄いね」
「まさに作家の執念だね」
 先生は考えながら言いました。
「織田作之助さんの」
「それでなんだ」
「それで書いていたんだ」
「何とか書きたい」
「そう思っていて」
「だからね」
 それでというのです。 
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