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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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16-⑹

 3月中旬、昇二から連絡がきて、話があるので、泊めてくれと言ってきていた。金曜の夜10時を過ぎてやった来た。お父さんは、もう、早々と寝ていたのだ。

「めし 食ってないんだろう 今、売り込みをかけている、あんかけオムレツ食べてみてくれよ」と、僕は、昇二の意見も聞きたかったのだ。

「蒼が開発したのか? 頑張ってるなぁ もらうよ 横浜のシューマイも買ってきたんだけどな」

「待ってろ レンヂで直ぐだから・・ どうしたんだ、急に 出張で来たのか?」

「うん 俺 4月から、上海だ」

「えぇー あの上海かー?」

「うん あの上海 最低2年は、行くことになると思う」

 僕が、レンヂで出来上がったものを出していると、そんな時、美鈴が家に戻ってきた。

「昇二 来てたんだ ごめんね 私 たいしたもの用意してないの」

「いいんだよ 美鈴 今から、蒼の失敗作を食べるとこなんだよ」

「おい 食べてから、言えよ プロとしての感想をな」

 昇二は黙ったまま、食べていた。僕は、美鈴にシューマイを温めてくれと言って、キッチンに行って、小声で

「あんまり 無理するなよ 大事な身体なんだから」

「うん 気をつけているわよ これ、チンといったら、蒼出してね 私 匂いダメかも」

 シューマイを持っていくと、もう、昇二は食べ終わっていた。

「どうだ なかなか良いだろう?」

「うーん ビールとは合わないな」

「バカヤロウ つまみじゃぁないよ」

「アハー いや、うまいよ それなりなんだろな 思ったより、卵もふっくらしていたのは、びっくりした。でも、俺なら、もっと、餡にボリュームが欲しいな グリーンピースとかエノキが卵に入っていたけど、卵をもっとシンプルにして、もっと小さくても良いからもっと、厚みを持たせて、餡のほうを具沢山にしたほうが豪華に見える。写真映えするしな あと、ご飯のふっくら感は出せないので、餡を多くして、カバー出来るかなと思う まあ 男には、少し、ボリューム感ないかな 女子向け でも、うまかったよ」

「そうか 参考になるよ 検討するよ」

 その間に、美鈴は端っこのほうで、梅干しだけで白ご飯を食べていた。

「美鈴 どうしたんだ? えらい、質素やんか」と、昇二が気にしていた。

「美鈴 もっと、栄養とらんとあかんのちゃうか」と、僕も言ったのだが

「うん 今は、梅干し食べたかってん 食べられるときは、色んなもの食べてるから大丈夫」

「昇二 実は、出来たんよ」

「えぇー 子供 できたんかー? で、いつ?」

「秋に生まれる 今、3ヶ月」

「そうなんか パパになるんだな 良かったなー 蒼 でも、俺 見ることが出来ないんだよなぁー」

「美鈴 昇二、4月から上海だって」

「まぁー やっぱりかー で 明璃ちゃん どうするのー? 話したの?」

「うん 明日、会って、話す 最初からなんて、連れて行けないよ 明璃だって、就職決まったとこだし・・ なんとか、待ってもらうよ 待てないような奴なら、仕方ないよね」

「昇二 だから、東京で一緒に住むこと 渋っていたのね」

「いゃ あの時は、まだ、はっきりしてなかっただけだよ」

「そうかー 明璃ちゃんも、可哀そうね でも、それも試練か 昇二への気持を確かめるのに、良いかもね」

「そうだと思う 本当に、俺なんかで良いのかって・・ だから、明璃には、手も出してないんだよ 俺だって、我慢してこらえているんだよ 光瑠が怖いせいもあるけどな だから、まだ、新品のままおいてあるんだ エヘッ」

「昇二はそういうとこ 以外と真面目なんだよねー 前も、感心したけど でも、明璃ちゃんには、待ってて欲しいんでしょ ちゃんと、気持ち伝えてね あんな良い娘 もう、現れないわよ」

「俺も、そう思ってる 最初は、変人のお転婆な娘だと思ってたけど、とんでもない宝物だったよ」 


 


 
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