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Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-

作者:セリカ
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A's編
  第六十五話 結界外での戦い   ★

 今までと違うバリアジャケットを纏い、その相棒達も姿を変えていた。

「Assault form, cartridge set.」
「Accel mode, stand by ready.」

 最初はバリアジャケットを纏おうとした際に少し戸惑ったような表情を浮かべていたが、今は当然のように受け入れている。

 それにしてもレイジングハートとバルディッシュの前にはなかった機構。

「あいつらのデバイス、あれってまさか」

 ヴィータも驚いたように声をあげる。

 二つのデバイスについている弾倉に、バルディッシュは「cartridge」と言った。
 つまりヴィータやシグナムのデバイスと同じカートリッジシステムか。

「私達は貴方達と戦いに来たわけじゃない。
 まずは話を聞かせて」
「闇の書の完成を目指している理由を」

 身構えるヴィータとザフィーラに対して、話し合いを望むなのは達。

「あのさ、ベルカの諺にこういうのがあんだよ。
 和平の使者なら槍は持たない」

 俺は言いたい事はわかったが、なのはとフェイトは首を傾げている。

「話し合いをしようってのに武器を持ってやって来る奴がいるかバカって意味だよ。
 バ~カ」
「いきなり有無を言わさず襲ってきた子がそれを言う!」

 うん。これはなのはの方が正論だ。
 いきなり襲ってきた者が武器を持つ事を語っても説得力がない。

「それにそれは諺ではなく、小話のおちだ」
「うっせ! いいんだよ、細かい事は」

 いや、諺と小話のおちでは細かい違いなどではないと思うのだが。
 内心そんな事を思っていると結界を突き破ってビルの屋上に着地する者。

 剣を持ち、長い髪をポニーテールにまとめた女性。

 結界に囚われた仲間を助けるためとはいえ、局員が維持する結界を破り中に入るとは本当に自身の信念を貫く奴だ。
 初めて見た時も思ったがその在りようは彼女に似ている

「士郎君、ユーノ君、クロノ君、手を出さないでね。
 私、あの子と一対一だから」
「マジか」
「マジだよ」
「承知した。
 だが病み上がりだし、デバイスの事もある。
 くれぐれも無茶はするなよ」
「うん」

 俺達の会話の横でアルフと頷き合うフェイト。

 二人とも予想通りだな。
 二人とも一対一で正面からぶつかりあうタイプだしな。
 アルフの視線はザフィーラに向いている。
 そういえば前回の戦いの時、アルフはザフィーラと戦ったといっていたな。

「それなら丁度いい。
 ユーノ、僕と君で手分けして闇の書の主を探すんだ」
「闇の書の?」
「連中は持っていない。
 恐らくもう一人の仲間か主がどこかにいる。
 ユーノは結界内を、僕は結界の外を探す。
 士郎は万が一に備えてなのは達の援護を」
「いや、俺もクロノと結界の外を探す。
 援護をするならユーノの方が適任だろ」

 事実、いざという時の治療と防御、結界外への転移などはユーノの方が得意としている。
 俺がいざという時動くとなれば、相手を倒すまたは制圧して運び出す事になる。

「だが士郎、君は管理局の人間じゃ」
「確かに俺は管理局員じゃないし、ここは俺の管理地じゃない。
 だが、ここは俺が住む星で管理外世界だ。
 俺が勝手に管理局に協力するのは問題ないだろ」
「それはそうだが」

 自分で判断してしまってよいのか迷うクロノ。
 そんな時

「クロノ、その協力受けさせてもらいましょう。
 士郎君の力を借りれるなら心強いわ」

 モニターが開き、リンディさんが現れ、俺の協力の許可を出す。
 それにクロノが頷き

「確かに心強いのは確かだ。
 もし発見したら」
「念話が使えないからな。
 発見、問題が起きたら上空に魔力弾を放て。
 その地点に向かう。
 俺の時も同様に上空で爆発を起こす」
「わかった。
 それで行こう。
 くれぐれも気をつけていくぞ」

 クロノの言葉に俺とユーノが頷く。

 それとほぼ同じくしてなのは達とヴィータ達がそれぞれの相手に向かって空を翔ける。

 それに続く様にクロノとユーノが飛び立ち、俺も魔力放出で地を蹴り、クロノについて行く。

 結界を抜ける直前に向こうで戦うなのはとフェイトを見るがデバイスが壊れている様子もない。
 内心では正直心配だったが杞憂だったようでなによりだ。

 そして、クロノと共に結界を抜け

「ここからは別行動だ。
 あまりやり過ぎるなよ」

 管理局が記録しているのだから魔術を使い過ぎるなというクロノからの警告だろう。

「ああ、うまくやるさ」

 クロノのに頷き、クロノと反対方向に向かって別行動を開始する。

 ビルからビルに跳び、敵を探す。

 ビルの屋上から視線を奔らせるがどうしても死角はあるのでそれを補う様に移動する。
 クロノの方は管理局員の張った結界があるので見えない。

 シャマルがどこかにいるかもしれないが、見つけた時の考えはある。

 そして、俺が本当の意味で探している奴は別にいる。




side クロノ

 街を空から見下ろして闇の書を探す。

 さすがに結界内の事が心配で一度エイミィに

「なのはとフェイトは大丈夫か?」

 と訊ねてみたが

「大丈夫だよ。
 圧勝とはいかないけど初めてのカートリッジシステムでいい勝負をしてるよ」

 という返事が返ってきた。

 それにしても末恐ろしい子たちだ。

 闇の書の守護騎士達の強さはかなりのモノだ。
 それをカートリッジシステムを搭載したとはいえ白兵戦型のベルカ式の騎士と互角に戦うなんて。

 そして、真正面から一対一で戦う事を選ぶ彼女らもそうだが、それを予測していた友人二人もそれを受け入れているのはどうかとも思う。
 もっともそのおかげでこうして闇の書の主を探す余裕が出来ているのだけど。

 だが叶う事なら

「闇の書の主を見つけるのは僕だと理想的だな」

 士郎が関わるとどうしても魔術の事などがあるので、戦力的にはありがたいがあまり表舞台に立たせたくない。
 とはいえ

「世の中そううまくいかない事ばかりなんだよな」
「クロノ君、どうしたの。
 やけに重たいため息ついて」
「いや、別の事だ。
 次のポイントに移動する」
「了解」

 ため息を聞かれていたエイミィと通信を切り、次の捜索ポイントに向かう。

 その途中でビルの屋上から結界を見つめる一人の女性。
 その腕には闇の書が抱かれている。

 空中で急停止し、女性を見つめる。
 位置的には彼女の左側にいるがこちらに気がついた様子はない。
 慌てるな。
 下手に慌てればこちらに気がつかれこの絶好のチャンスを逃す事になる。

 高度を下げて、死角に入りビルの合間を縫うように彼女の背後に回る。

 そして、足音をたてないように少し距離をあけてゆっくりとビルの屋上に着地する。

 相手は結界に注意がいき過ぎている。
 足音をたてないように近づき、S2Uを突きつける。

「あ」

 相手が漏らした小さな言葉。
 完全に隙をつけた。

「捜索指定ロストロギアの所持、使用の疑いで貴方を逮捕します。
 抵抗しなければ弁護の機会が貴方にはある。
 同意するなら武装の解除を」

 どう出るか、相手の挙動に目を配る。
 その時

「え?」

 何かに驚いたように彼女が顔を僅かに右に向けた。
 それと同時に響く屋上を蹴る、踏み込みの音。

 すぐに彼女の向いた方に視線を向けるが、遅過ぎた。

「ふっ!」
「がはっ!!」

 腹部を蹴られ、その勢いのままとなりのビルのフェンスに叩きつけられた。

 彼女に意識が向き過ぎて、周囲の警戒があまくなっていた。

「く、仲間……」
「エイミィ、今のは?」

 この状況に艦長達の通信が聞こえてくる。

「わかりません。
 こっちのサーチャーには何の反応も、なんで、どうして」

 僕の警戒があまくなっていたのもあったが、僕の捜索を援護するためのサーチャーにまで反応がない事にエイミィが困惑の声を上げる。

 僕だけじゃなくて、こちらのシステムを抜くなんて何者だ。
 仮面をつけた男がよく聞こえないが彼女になにかをつぶやく。
 彼女の仲間か知らないが、このまま二対一だと不利だ。
 ならば、S2Uで空を狙い。

「Blaze Cannon」

 砲撃を空に放つ。
 さあ、狼煙は上げたんだから、早く来いよ士郎。

 痛む腹部を押さえながら立ち上がる。




side 士郎

 ビルから移動しながらの捜索の中で空に伸びる青い光。
 クロノが見つけたか。

 そして、幸いなことにそんなに離れていない。
 結界を挟んで向こう側だが迂回する時間も惜しいので飛び越える。

 264本の魔術回路の撃鉄を叩き起こし、ビルの屋上から魔力放出で飛び出す。
 だが当然一歩で結界が超えられるはずもない。
 空を飛ぶ方法もあるが、俺ならば魔力放出でそれより速くつける。
 だがそれには足場が不可欠になる。

 だが管理局の前で投影した剣を空中に浮かべ、足場にしてそれが霧散すれば投影の事を隠すのが難しい。

 しかし今回に限れば、足場はある。

 そう、街に張られた結界を足場にする。

 当然結界は俺を阻み、弾こうとする。
 それを無視、いやそれすら利用し、結界を足場にして二歩目の跳躍を行い、同じ要領で結界を駆ける。

 そのまま、結界の傍にいるクロノとシャマルを見つける。
 そして、同時に仮面をつけた男を見つけた。

 仮面の男がシャマルの傍にいるが、シャマルの仲間、いやシャマルが警戒した視線を男に向けている。
 一体何者だ?

「どちらにしろ」

 横やりを入れさせてもらう。

 外套から取り出すように黒鍵を投影し男に向かって投擲する。
 だが男はこちらを察し、シャマルから離れるように黒鍵をかわす。

 妙だな。
 男の視線は上に向いてなかったが、黒鍵を正確に察していた。
 管理局のサーチャーのように何らかの形で周囲を警戒していたのか?
 奇襲に冷静に対応した男から庇うようにシャマルの前に降り立つ。

 最初は俺が誰かわからなかったようだが、黒鍵を新たに構えながらシャマルに顔を向ける。
 
「し、あっ!」

 俺の顔を見たシャマルが名前を呼びそうになるので、視線を強くして注意を促す。

 ……シャマルのこの天然なところは正直怖い。
 もしここで士郎と呼ばれようものなら、誤魔化しようもないだが。
 シャマルから視線を外して、クロノに視線を向ける。

「クロノ無事か?」
「ああ、一発貰ったが問題ない」

 腹部を抑えているが、しっかりと杖を握り直すクロノ。

 これなら二対一でいけそうだな。

 仮面の男を見つめる。
 やはり間違いない。
 この仮面、髪の色、体型。

「貴様、先日の海鳴の時にもいた者だな。
 何者だ? 彼女達の知り合いか?」

 仮面の男に尋ねながら、シャマルに視線を向けると小さく首を振る。

 最後の質問はシャマルに対する問いかけでもあったのだが、知り合いではないようだ。
 なら容赦する必要はないだろう。

「だんまりか?」

 更なる問いかけに男は俺とクロノに掌を向ける。

 魔導師特有の魔法陣は出ていなかった。
 だが、今までの経験が警報を鳴らし、その警報に従いアスファルトを蹴る。
 それとほぼ同じくして迫るいくつものリングから逃れる。
 だが

「しまった。バインドか」

 クロノが囚われる。
 助けようとクロノの方に踏み込むより先に、さらに何重にもバインドがかけられ、青い四角錐の檻が三重にかけられる。

「クリスタルゲージ、しばらくは出てこれん。
 次はお前だ」

 再び俺を拘束しようと迫るリングを横にかわしながら黒鍵を投擲する。
 投擲された黒鍵をかわす仮面の男、
 それと同時に横ではなく前に踏み込みながら

「―――投影、開始(トレース・オン)

 手に馴染む双剣を投影する。

 さらに一歩、魔力放出と共に踏み込み双剣を

「しっ!」

 一閃する。
 だが防いだか

 シールドを張って仮面の男は防いでいた。
 完全に虚をつけたと思ったのだが意外としぶとい。
 一旦俺から距離をとりながら構える男。
 近接戦闘の構えの隙もなく、自然体だ。

「来ないのか?」

 俺の誘いに乗り踏み込んでくる男。
 その顔面を狙った拳を右の剣で逸らし、追撃の腹部を狙った蹴りを左の剣で逸らす。
 その後も続く連撃。
 まるで俺に攻める隙を与えないためなのか攻撃に次ぐ攻撃。
 それを逸らし、受け流しかわし続ける俺。

 サーヴァントクラスなら可能だろうが、並の人間がそんな連撃がいつまでも続くはずがない。
 僅かに大ぶりになった蹴りを左の剣の腹で叩き落とし

「その素顔晒してもらうぞ!」

 仮面に峰で打ち込む。

「がっ!」

 殺すつもりはなかったので手加減こそしたが、かなりの威力で叩き込んだが仮面は亀裂が入ったが割れない。
 追撃しようとしたが拳を突き出し、それを逃れる。

 それにしても先ほどの仮面に触れた感触が妙だ。

 剣を下ろし相手を見据える。
 男は間合いをあけたまま仮面に入った亀裂を確認するように撫ぜる。

 亀裂は気にしているようだが修復させる気配はない。
 バリアジャケットの一部というわけではないようだ。
 だが正体を隠すためにバリアは張っているのだろう。

 そうなると魔力の守りを破る方法が必要になるが、その手段は持っている。
 そして、この男はまた俺達の前に立ちはだかるだろう。
 ならば

「逃げられたとしても今後の事を考えておくか」

 干将・莫耶を外套にしまう様に霧散させ、新たに外套から取り出すように手に握るのは

「双槍……?」
「珍しいかね?」

 珍しいというのがわかっておきながらあえて尋ねる。

 双剣ならまだしも両手で扱う槍を二本持つ双槍などまず目にする事はない。
 さらに双剣の時は男とそれほど変わらない間合いが槍を持つ事で俺の方が広くなる。
 いきなり変わった間合い。
 そして、見た事もない戦い方をする相手と対するなら、まずは様子見をしつつ、戦い方を理解していく。
 だがこの男にはそれも敵わない。
 なぜなら

「そんなことよりこんなゆっくりしていていいのか?
 クロノが徐々にバインドを解き始めているぞ」
「くっ!」

 赤の長槍と黄の短槍を翼のように広げ構える。



 さあ、第二幕の始まりだ。 
 

 
後書き
まずなにやら七十一話が先に見えてしまい、お騒がせしました。

そして、なのはとフェイトの戦いの活躍を期待してた方々、期待を裏切ったのならごめんなさい。

今回の戦いはなのは達の登場シーンは少ないです。

そしてようやくまともに登場した干将・莫耶のシーンが短いこと・・・
次回はこの戦いの続きになります。

次回も来週更新です。

ではでは 
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