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子沢山も大変

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第三章

「結構働きづめで家でもな」
「育児でか」
「それでな、いや家計は大丈夫でもな」
「家に車にか」
「それで育児もあってな」
「大変なんだな」
「十六人欲しいって言ったけれどな」
 宮本は以前の自分の発言をここで出した。
「けれどもう六人でな」
「いいか」
「多分六人目で限界だからな」
「そうなんだな」
「ああ、子沢山はいいけれどな」
 このこと自体はというのだ。
「大変だな」
「そのことを実感してるな」
「その通りだよ」
 こう宮本に話した、それから仕事の話をした。
 宮本は塩見にも会ってここで遂にその考えを確かにした。
 子供は多過ぎると自分達の許容量の限界に達して大変なことになると、それで彼は結婚した時に妻に話した。
「子供は多過ぎない様にしないとな」
「あまり多いと大変だから?」
「ああ、自分達が限界に達さない限りにしような」
 こう妻に言ってだった。
 三人の子供をもうけたがそれでもういいとした、そのうえで塩見と夏奈の夫婦を見たが六人の子供を持つ彼等は大変なままだった。目は死んでいるどころか生き生きとしていたがやつれていた。そして。
 二人は子供達全員が巣立ってから塩見に同窓会の場で言った。
「やっと終わったよ」
「最後の子も無事に大学を卒業して就職したわ」
「ずっと働きながら育児で大変だったけれどな」
「それがやっと終わったわ」
「今度は孫が出来てるけれどな」
「上の三人の子達がそれぞれ二人ずつでね」
 こう宮本に話した。
「そうなってるけれど」
「とりあえず子育ては終わったよ」
「そうなんだな、本当に子育ては大変だよな」 
 宮本も自分のことから話した、三人共顔に皺があり髪の毛に白いものがある。身体つきも年齢を感じさせるものになっている。
「それが六人だとな」
「多いと大変だったよ」
「今思うといい思い出でどの子も可愛らしいけれど」
「いや、終わってやれやれだ」
「毎日が戦争だったからね」
「そうだな、子沢山も考えものだな」 
 その大変さを思うととだ、宮本は二人に話した。だが二人は今も目は死んでおらず。
「それで孫だけれどな」
「どの子も可愛くてね」
「今度はそっちか。どうなんだよ」  
 宮本は二人の話を笑って聞いた、二人は彼に自分達の孫達の話を明るく話した。それは結婚したことを話した時とはまた別だったが実に明るいもので話を聞く宮本も笑顔になった。そして彼は自分が祖父になった時のことを思いそのことでも笑顔になったのだった。


子沢山も大変   完


                2021・12・19 
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