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冥王来訪

作者:雄渾
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異界に臨む
  新彊 その3

作戦開始の号令とともに砲撃が始まった
新彊に近接する甘粛、青海よりかき集めらるだけの火砲、戦車を用意し、大量の砲弾が準備された
砲撃と並行するように戦術機部隊に出撃が命じられ、同様にゼオライマーへの出撃も打診された
全長50m近いゼオライマーは、先行する戦術機部隊に追随したが、速度を落として距離を放されていた
前方投影面積が一般的な戦術機の二倍以上ある、この機体ではレーザー光線や誘導兵器の直撃を受けやすく、近接する兵器への二次被害を避けるためである
もっと次元連結システムの応用によるバリア機能があるが、それを極力隠ぺいするためでもあった

前回、≪BETA≫との遭遇戦の際は、メイオウ攻撃によって一網打尽にしたことと、深夜であった為、十分な視認をしなかったのだが、今回の作戦は日中。
マサキは、この世界に来てから初めて≪BETA≫の姿を見た
薄気味の悪い昆虫のような姿をした化け物が、無数に湧いてくる
先行する部隊と砲撃によってだいぶ数が減らされてはいるが、近寄れば群れになって絡みついてくる厄介な存在

部隊の隙間から抜けて近寄ってくる≪BETA≫を、両腕から出されるビームと衝撃波で蹴散らすが、数が多すぎる
(「これでは時間が掛かり過ぎる」)

その刹那、目の前にいた≪BETA≫の群れが左右にひき始め、先行する部隊も散会し始める
直後、ゼオライマーにレーザーが照射され、数秒のうちに連続してレーザー光線が発射された
 
「避けろ、大型機!」
先行部隊の隊長が通信を入れると同時に数十発のレーザーが直撃し、ゼオライマーが焼失したかに見えた
「いくら大型でも、間に合わなかったか……」
悔しい思いをしていても仕方がない
彼はそう考えて、≪光線級≫への連射を続けた
連射される光線により、仲間の機体はどんどん数を減らしてゆく
今のところ、距離を保ちながら後退をしているから、戦死者は思ったより少ないが、動ける機体が減りつつある
まるで嬲り殺すのを楽しんでいるようだ

間隙を縫って動ける機体によって、衛士の無事な機体が回収されようとしてきたところ、大型の≪BETA≫の群れが、突撃してきた
彼の脳裏にこれまでの戦闘で無残に散っていった同士のことが過る
「これまでか……」

大型の群れの真下が光り輝き、巨大な機体が表れた
白磁色をした機体が地上に飛び出し、下から≪BETA≫を薙ぎ払うと、両腕を胸に押し当てる
発光すると同時に、眩い光が前面に向かって照射される
強烈な閃光と衝撃波が、機体に降り注ぐ
爆風と付随する振動によって近接する数機が横倒しになり、計器類も狂ってしまった
けたたましい警報音によって、混乱する
操縦席より脱出して、敵陣を走破しなくてはならない
そう考え、自動拳銃の準備をする
弾倉に7発、クリップに止めた予備弾が2列……
拳銃の確認をしている間に数度の閃光が煌めく


彼は諦めて、右手に拳銃を握って機外に脱出した
そして急いで横転している僚機のそばへ駆け寄った
僚機は、両腕が爆風でもがれ、全身に≪BETA≫の返り血がこびり付いている
右手で警戒しながら、左手で機体をたたくと返事が返ってきた
どうやら仲間は無事らしい
操縦席の扉が開くと、頭から血を流した衛士が出てきた
圧縮包帯包を投げ渡し、周囲を警戒してると数名の衛士が駆け寄ってきた
多少怪我をしている者もいるが、奇跡的に無事だったようだ


衝撃で、ほぼ全ての手段_無線連絡_が壊れたので信号弾の準備をしながら、警戒する

しかし30分近く経つが、≪BETA≫が寄ってこない
緊張と砂漠の日光で、喉が渇く
「不気味だ」
僚機の衛士は、仲間に応急処置をされながらこう呟いた
「俺もだよ。奴らが寄って来ないなんて不思議じゃないか」
双眼鏡で周囲を警戒する衛士が、叫んだ
「車が来たぞ」
猛スピードのオートバイに先導された、古いソ連製のジープが、2台が付くと衛士達は乗り込んでその場を立ち去った

 
 

 
後書き
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