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星河の覇皇

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第七十九部第四章 エウロパも気付きその五

「この様にだ」
「自然はですね」
「勝敗を分ける」
「災害や天候もまた」
「そして今回もですか」
「ティムールの命取りになる」
 この国に敗北をもたらすというのだ。
「シャイターン主席の不在を招いてな」
「そうなりますか、ただ」
「このことはシャイターン主席もわかっているな」
「わかっているなら何故、と言いたいですが」
 ここでだ、プロコフィエフは気付いて述べた。
「そういうことですか」
「私より卿の方がわかることだな」
 政治には興味がない自分よりもとだ、タンホイザーはプロコフィエフに対して冷静に言葉を返した。
「そうだな」
「それは」
「いや、私は政治家ではないしだ」
「政治にもですか」
「興味がない、軍服を脱ぎ礼装で議会に出るなぞだ」
 貴族院の議員になる様なことはというのだ、他には領主として領地である星系の統治をおこなうこともだ。
「一切だ」
「考えられませんか」
「私はな、だからこう言ったのだ」
「そうでしたか」
「私は政治のことはわかるつもりもない」
「ですからシャイターン主席の判断も」
「卿に任せたのだ」
 彼女に答えを出させたというのだ。
「そうしたのだ」
「左様でしたか」
「それで卿の出した答えだが」
「はい、シャイターン主席は国家主席としてです」
 その立場からだとだ、プロコフィエフはタンホイザーに答えた。
「災害を放置してはならないと考えて」
「即座にだな」
「サマルカンドに戻りました」
 そうしたというのだ。
「救助と復興にかかる為に」
「政治家の判断だな」
「まさに、シャイターン主席は優秀な軍人ですが」
 それでもというのだ。
「それ以上にです」
「政治家ということか」
「それも優秀な、ですから」
「そう判断したな」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうしてです」
「戦場から去り」
「敗北はわかっていても」
「政治としての判断を優先させたか」
「そうせずにはいられませんでした」
「私は戦争に勝てばだ」
 それでというのだ。
「例え災害への政策、陣頭指揮のそれを行わずともな」
「その勝利はですね」
「利益があると思うがな」
「戦場の勝利がですね」
「大きな利益を得ると思うがな」
「統一をもたらすのですね」
「そう思うが。政治はか」 
 シャイターンはあえて自身が全く興味のない分野のことを話した、やはり彼は生粋の軍人もっと言えば戦術家なのだ。
「そこでか」
「はい、戦争も重要ですが」
「災害からの復興と被災者の救助はだな」
「それはです」
 まさにというのだ。 
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