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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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12-⑶

 式の当日、僕達は、新居から美鈴と一緒に出た。昨日、仕事を終えて、新居に向かったのだ。美鈴は夕方、引っ越しを済ませていた。武君が堤さんに軽トラを借りて、手伝ってくれたらしい。大した荷物も無いので、直ぐに、済んだと言っていた。

「ごめんね 私等、ベッド無いんだ。お父さんのは買ったんだけど、私達のは、もう、少し、我慢してね」

「いいんだよ 余裕できたら、買えば良いよ 美鈴が居るだけで、満足だよ」

「うん 待っててね 私 舞依ちゃんにお店任せたままだから、代わって、あの子に帰ってもらうから」と、キッチンの片づけの途中で、お店の方に出て行った。

 冷蔵庫は、美鈴がお父さんと暮らしていた時のものだから、小さなもののままだ。まあ、これから、徐々に買い揃えれば、いいかと思ったのだ。美鈴が店を閉めて戻ってきた時、僕は、お父さんとチビチビやっていた。直ぐに、お風呂を用意して、美鈴はお父さんに、入ってと勧めたが、お父さんは、やっぱり、蒼君が一番に入るんだろうと、僕に入れと促してきたのだった。

 次の日、美鈴は、美容室に行くので、早い目に出ると言って居た。僕は、一度、実家に帰ってから、式場に向かう予定だったので、駅で別れた。

 - - ☆ - - ☆ - - 

 僕は、ホテルに着いた後、衣装室に行って着替えたんだけど、その後、どうしていいんだか迷って居たら、ホテルの人が、ご両親は一階のナイトクラブにほうにおられますと聞いたので、そっちに行った。

「蒼 久し振りだよな いゃー おめでとうな あの可愛かった中道と結婚するんてな」と、何年ぶりだろうか、北海道に居る兄が居た。

「うん 今日 来たの?」

「ああ 大阪は久し振りだよ」

 そのうち、僕達はそろそろ教会のほうへと案内されて・・

 僕は、祭壇の前で、待っていた。教会の入口のドァーが開いて、ベールを被った美鈴とお父さんが立っていた。そして、ゆっくり、こっちへ向かって歩いてきた。周りからは、祝福の言葉が聞こえていたが、僕は、緊張も重なって、ただただ、美鈴の眩しい姿を見ておこうと見つめていた。

 僕は、多分、指輪を交換して、ベールをあげて美鈴にキスをして、サインをしたんだろうけど、言われるままだったので、美鈴がバージンロードを僕の方に歩い来る姿以外はあまり覚えていなかったんだ。

 披露宴が始まる前、入口に現れた美鈴は髪と左腕に花の飾りを付けていた。そして、慌ててホテルの人が僕の胸にも同じ花の飾りを挿しに来たのだ。会場に入場して、各テーブルを挨拶してまわったのだが、武君がしきりにカメラを構えていた。急遽、美鈴が頼んでいたのだ。

 美鈴がお色直しで、退席している間に、僕の伯父さんが越前の嫁迎え唄を披露してくれて、その後 明璃ちゃんと清音ちゃんが揃って出てきて・・なんと、二人共、ツインテールでリボンを髪の毛に巻き込んでいて・・それまで、気が付かなかったのだ。おまけに、二人はAラインのドレスの色違いで揃えていたのだった。いつの間に練習したのだろうか・・いきものがたりの「ありがとう」を二人で歌ってくれた。そんなことをやるって、僕達は聞いていなかったのだが、当然、会場からはやんやの喝采を受けていたのだった。

 歌い終わった後、僕に向かって、花びらを二人で撒いていった。おそらく、明璃ちゃんの企みだったんだろう。でも、僕は、明璃ちゃんが清音ちゃんと、ここまで、仲良くなったことが嬉しかった。美鈴が聞いたら、おそらく、涙するかも知れない。

 美鈴が衣装を変えて戻ってきて、入口まで迎えに行った時、今度はロイヤルブルーのドレスに、花飾りで頭を飾って、首にも花飾りを付けていた。やっぱり、綺麗なので感動した。そして、持っていた花束の大きなものを見せて「これ 高井さんが送ってくれたんだって」と、言って居たが、僕には、その時、誰だか解らなかった。美鈴は一輪の花にキャンディのついたものをたくさん入れた花籠を腕に下げていた。僕達は、キャンドルでは無くて、参列していただいた方、一人一人に美鈴がその花の一輪を渡していた。美鈴が感謝の気持だと言っての希望だった。

 その後、一人一人に司会のえりかちゃんが一言と言って聞いて周ったのだ。最後に友人のテーブルに行った時、明璃ちゃんが最後になったのだか、その時、清音ちゃんを呼び寄せて

「私等、二人は、美鈴さんを崇拝している妹なんです」と言い出して、それから、美鈴の良い所を褒め出していたが、僕の会社の社長が

「お嬢さん達 さっきの歌をもう一度披露してくれないか さっきは、花嫁も居なかったし」と、言うと、拍手の中、堤さんが出てきて、二人を前に押し出していた。光瑠もあかりちゃんの背中をポンと叩いていた。

 美鈴もその時、初めて、気が付いたみたいで「あの子達・・お揃い・・」と・・。そして、歌の途中で、本当に泣き出してしまって、くしゃくしゃになってしまったのだ。

 披露宴も終えて、僕達は、そのホテルにそのまま泊まることになっていたのだが、近くの居酒屋で、慎二らが待っていて、もう、少し飲もうと言っていたのだ。

 着替えた美鈴は、白いミニスカートで、何故か、あのミニ花束を抱えていた。

「あのね 高井さんって 誰?」って聞いてみた。そうしたら、高井さんとの経緯を聞かされて、ようやく、僕も思い出したのだ。昔、美鈴と行った海岸のこと。

「あらっ 清音と明璃ちゃんは?」昇二と光瑠だけだったのだ。

「うん 清音ちゃんはおばあさんと帰るって、明璃は慎二と別れを惜しんでいたんだけど、明日も会えるからって・・昔の仲間4人で懐かしんでって、清音ちゃんたちと帰って行った。あぁ そう 美鈴のお父さんは、晋さんと舞依ちゃんが送るって言っていたわ」

「そう 明璃ちゃんにお礼 言わなければと、思ったのに・・」

「うーん あの子 破天荒なとこあるけど、自分の妹ながら 良い子よね 他人の気持ち、考えているし・・あの子なりの表現なのよ 慎二 大変だけど、よろしくね」と、光瑠が・・

「なんだよー 俺が、面倒引き受けるのかよー お姉ちゃん」と、昇二が返すと、光瑠のお手拭きが飛んでいた。

「でも、次は 昇二の番だよなぁー」と、僕が言ったけど

「それがな ベトナムの話があるんだよ」と、下を向いていた。

「なによ それ 海外赴任? 早すぎるんじゃぁ無い」と、光瑠が言っていたが

「いや まだ、決まってはいないんだが・・ ウワサ 勿論 明璃には言って居ないよ」と、昇二はビールを注いでいた。

 僕達は、ホテルに帰ってきた。もう、11時になろうかという頃だった。

「蒼 私 こんなに幸せで良いんだろうか」

「当たり前、じゃぁないか 美鈴が優しいから、みんなが祝福してくれだんだよ」

 私は、お風呂から出て、お母さんに用意してもらったものを着て・・恥ずかしかったけど・・

 だけど、もう、蒼は飲み過ぎていて、うつろだった。そのまま、その日は、私、蒼にひっいて横たわっていただけだけど・・。幸せを噛みしめていた。





 

 
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