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ハッピークローバー

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第五話 合コンのことその六

「それは当然のことだ、いや自然だ」
「自然なの」
「自分だけの奴なんか好かれるか?」
「嫌われるわね」
「そうだ、だからな」
「他の人を大事にしろってことなのね」
「自分だけが大事と言い切る奴はな」
 父はさらに言った。
「本当にそうした行動だ」
「自分だけね」
「こんな奴誰が友達と思うか」
「表面上は付き合っていても」
「内心は皆嫌う」
 そうしているというのだ。
「そしていざとなったらな」
「誰も助けないのね」
「そうだ、あとな」
 父はさらに言った。
「本当に嫌われている奴は面と向かって言われないんだ」
「そうなの」
「言われる奴は嫌われていてもな」
「まだなの」
「まだ言える位にはな」
 それだけはというのだ。
「嫌われていても余裕があるんだ」
「じゃあ言われないのは」
「もうな」
 それこそというのだ。
「徹底的に嫌われていてな」
「それも言われないのね」
「表面上は付き合われていてもな」
「本当に嫌われていたら」
「陰で皆で言われるものだ」
「そんなものなの」
「陰口もよくないがな」
 それでもというのだ。
「言われるんだ」
「そうなのね」
「お前は別にそんな嫌いな人いないだろ」
「そうね」
 かな恵は父の言葉を受けて少し考えた、そのうえで答えた。
「別にね」
「一華ちゃん達にもだな」
「皆嫌いなら嫌いって言って」
 そうしてというのだ。
「終わりだしね」
「そうなんだな」
「陰口も言わないわ」
「表面上で付き合うこともだな」
「ないわね、そもそも私達五人って同じ団地だし」 
 住んでいる場所も同じでというのだ。
「幼稚園から一緒だしね」
「だから仲がいいな」
「そうだしね、他のお友達もね」
「悪い娘はいないか」
「男の子の方もね。成海君だって」
 彼のことも話した。
「別にね」
「嫌われる子じゃないな、あの子も」
「そうだし他の男友達も」
 知っている彼等もというのだ。
「別にね」
「嫌われている子はいないか」
「嫌われていても」
「面と言われる位だな」
「うん、そんな自分のことしか考えてなくて」
 それでというのだ。
「表面上で付き合われて陰口言われる位にはね」
「それは何よりだな」
「うん、けれど表面上一緒にいても」
「ああ、本当に嫌われているとな」
「表面だけで」
「裏でな」
「無茶苦茶嫌われているのね」
 かな恵はこのことがわかった。 
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