星河の覇皇
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第七十九部第三章 不測の事態その四十一
「こちらはです」
「連合としては」
「非常に迷惑です、ですから」
「マウリアの行動は」
「彼等の思惑通りにはです」
「いかせない様にしますね」
「はい、絶対に」
これが八条の考えだった。
「エウロパを助けさせません」
「彼等はそんなことはしていないと言いますが」
「そうした風にですね」
「言っていますが」
「その言葉を信じることは無理です」
八条はこの言葉は憮然とした顔で述べた。
「私にとっては」
「事実をご存知ですので」
「そうです、直接手渡さずともです」
「相手が見えて手が届く範囲にそれを置いて」
この場合は連合から手に入れた技術だ、それに他ならない。
「持って行くこともです」
「見て見ぬ振りをすれば」
「それがしていないと言えるか」
「無理ですね」
「マウリアはむかしから普通にそうしたことをします」
このことについては連合だけでなくエウロパでもサハラでも言われている、あからさまな行為を平然と行う国だとだ。
「例えばサッカーの八百長でも」
「サッカーですか」
「百点が入っている国です」
「サッカーでその点数はないですね」
スタッフも即座に言葉を返した、それもむっとした顔で。
「絶対に」
「左様ですね」
「はい、サッカーではです」
こう八条に述べた。
「百点も入りません」
「十点でも相当少ないです」
「それで百点で、ですね」
「八百長が明らかになりました」
あまりにもあからさまに妖しい点数だったからだ。
「そうしたこともありましたし頓智もです」
「頓智はあの国が発祥ですね」
「仏教といいますか」
「あの国の神話ですね」
「相手の言葉やルールをどう逆手に取るか」
そうしたことを考えてとだ、八条は彼が読んできたマウリア神話の話をした。この国の神話はヒンズー教の神々の神話でありこの時代も現在進行形で続いている。
「そうして戦いに勝つことがです」
「普通ですね」
「ですからこちらが何を言っても」
「連合相手では」
「頓智の様な主張でかわされます」
「それが常ですね」
「あの国は違います」
連合とはというのだ。
「中央政府も各国政府も」
「あの国とは違いますね」
「まだエウロパの方がわかりやすく対しやすいでしょう」
実は連合でもこう言われることが多い、連合から見てもマウリアという国はあまりにも異質な国家であるのだ。
「ですから下手に抗議をしても」
「知らぬ存ぜぬどころかですね」
「あの国一流の返しで」
頓智のそれでというのだ。
「返されて終わりです」
「よくあるケースですね」
「ですから」
「あの国への対策は」
技術を盗むそれはだ。
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