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星河の覇皇

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第七十九部第三章 不測の事態その四十

「若し連合におられたなら」
「被差別階級でなく」
「何らかの世界で頭角を現し」
「あの様にですね」
「頂点に立っていますが」
「マウリアのアウトカースト層に生まれて」
「あの様になりました」
 極めて強い執念を抱いた野心家になったというのだ。
「しかも連合にとって危険な」
「だから長官は、ですか」
「彼を嫌いではないのですが」
 個人としてはだ。
「ですが」
「連合中央政府国防長官としては」
「剣呑なものを感じていてです」
 それでというのだ。
「警戒しています」
「技術を盗まれることを」
「そうなっています、ですから軍事技術も」
「ガードしていきますね」
「これまでよりも遥かに。また民間技術も」
「セキュリティをですか」
「強化し」
 そうしてというのだ。
「マウリアに渡さない様に」
「していくべきですか」
「既にかなりの技術が盗まれていますが」 
 連合から見れば極めてロートルなそれがだ。
「ですが」
「それでもですね」
「はい、これ以上はです」
「技術の盗用を許さない」
「そうしていってです」
「連合の国防としますか」
「まだマウリアだけならいいのですが」
 同盟国である彼等で済めばというのだ。
「その発展だけならば」
「しかしですね」
「はい、エウロパにまで至っています」
「それが問題ですね」
「今の我々にとっては」
 連合にとってはというのだ。
「ですから」
「技術を盗ませないですか」
「これからは、エウロパを肥え太らせてはいけないです」
 それは断じてというのだ。
「むしろ徹底的に痩せてもらう」
「そう誘導していきますね」
「敵は弱いに限ります。ただ」
 八条はこうも述べた。
「連合の国家統合に共通の敵は必要で」
「エウロパは、ですね」
「痩せて欲しいですが」
「極端に弱いとですね」
「そして滅亡してもです」
「困りますね」
「あくまで程々にです」
 八条はここではどれ位の勢力でかは言わなかった。これは連合の現状から見てのことで常に変わることだからだ。
「強い敵としてです」
「いてもらいますか」
「はい」
 その通りという返事だった。
「彼等には」
「発展してもらっても」
「やはりです」
「程々ですね」
「極端に発展してもらっては」
 即ち急激にだ。 
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