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もう一人の八神

作者:リリック
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新暦79年
異世界旅行 ~カルナージ~
  memory:39 ネタばらし

-side 悠莉-

あのあと休憩を挟み、メンバー交換や条件を変えながら二戦三戦と模擬戦を繰り返しているとあっという間に日が暮れた。

夕食の最中、ペース配分を考えずに張り切り過ぎて試合に臨んでいたヴィヴィオ、リオ、コロナ、アインハルトの四人はかなり食べずらそうにしていた。

そして今はというと、温泉に入ったり、部屋でくつろぐなどと各々の時間を過ごしている。

それで私は部屋のベッドに座り、イクスの頭を膝に乗せながら、持ち込んだ本を読んでいた。

―――コンコン

「悠莉、誰か来たみたいですよ」

「んー?」

イクスに言われ、本から目を離すとドアをノックする音が聞こえた。

思いのほか読書に集中していたようで全く気付かなかったが、すぐに返事を返す。

「くつろいでいるとこごめんね」

部屋に入ってきたのはなのはさん。
その手には飲み物があった。

「大丈夫ですよ」

「栄養補給のジュース持ってきたけど悠莉君とイクスちゃんもどうかなって」

「ありがとうございます。いただきます」

「ヴィヴィオたちにもこれを?」

「そうだよ。みんな頑張ったから、その分しっかり休まないといけないからね」

そういわれジュースを受け取ると、イクスがこっちを見てきた。

その顔は何か言いたそうな、というよりも、何を言いたいのか当ててほしいという様子。

「……」

「もしかして、一緒にヴィヴィオたちの部屋に行くと?」

「はい! 悠莉も一緒にと思って……」

どうやら正解の様で嬉しそうに頷くイクス。

少なからず女の子ばかりの部屋に私一人っていうのは抵抗があるけど……って、いまさらか。
家でもザフィーラと男二人だし、この合宿でも男は私とエリオだけ。

「……何なのだろうね」

「悠莉?」

「なんでもない。さっそく行こうか」

「はい!」

「そういうことなので」

「大丈夫だよ」

笑顔でうなずいてくれたなのはさんを追って部屋を後にする。

「そういえばほかの人たちはどうしてるんです?」

「ティアナとスバルとノーヴェは温泉で、フェイトちゃん家族は部屋で団欒中だよ」

「それではヴィヴィオたちは?」

「大部屋でおしゃべりしながら休んでるんじゃないかな。食事中もそうだったでしょ?」

「……ああ、なるほど」

スプーンやフォークを持つのもやっとだった四人の姿を思い出したイクスはくすりと笑った。

あまり部屋から部屋までの距離がないのであっという間にヴィヴィオたちのいるへの前に到着。
さっそくイクスがドアノブに手をかけて部屋へと入った。

「あら、イクスちゃんとユーリ君」

真っ先に気づいたのはドアのそばにいたメガーヌさん。
その手には空になったトレイがあり、さっきもらったものと同じジュースをヴィヴィオたちに渡し終わったところのようだ。

ほかのみんなも気づいてイクスと私を迎えてくれる。
メガーヌさんに軽く頭を下げ、イスに座ろうとした時にモニターが目に入った。

「これって……インターミドルの?」

「そー。さっきまでこれについて話しててね。それでアインハルトを勧誘してたのよ」

「ルーテシアは出場するんですか?」

「もっちろん♪」

ルー以外にも今年から出場可能年齢に達したヴィヴィオ、リオ、コロナの三人も出場するとのこと。

そんな中、メガーヌさんが懐かしいわと呟いていた。
なんでも、学生時代にスバルさんの母親と一緒に出場したことがあり、都市決勝まで進出したことがあると教えてくれた。

それをきっかけに再びDSAAを話題に話が盛り上がり始めた。

DSAAについてあまり知らないアインハルトに説明しながら話が進んでいく。
どんな選手がいるのか、選手が将来どんな道に進むのか、自分たちにかかわるルールなどいろいろ。

話が進んでいく中、アインハルトがうずうずしているように見えた。
自分の知らない強者との戦いを想像したのか、心が沸き立っているようだ。

「アインハルト、もしかして出たくなってきた?」

「あ…その……」

私が話を振ると恥ずかしいのか口ごもるアインハルト。
なかなか言えないアインハルトに隣に座るヴィヴィオが名前を呼んだ。

「アインハルトさん! 大会予選は七月からですから……それまでたくさん鍛えて今よりも強くなります。だから―――」

ヴィヴィオはアインハルトを真っ直ぐで強い意志の籠った瞳で見つめる。

「公式試合のステージで、アインハルトさんと戦いたいです!」

突然のことで驚いていたアインハルトだったけど、スゥ……と目を閉じ、先ほどのようなおどおどした雰囲気はなく、しっかりとヴィヴィオを見つめ返した。

「ありがとうございます、ヴィヴィオさん。インターミドル……私も挑戦させていただきたいと思います」

「はいっ!」

ヴィヴィオは満面の笑みで返した。

「それにしても、今年は知り合いが多く出るのか」

「道場のみんなもいますしね」

「そういえばユーは出ないの? インターミドルに」

「ん?」

「そうだよ、ユーリも一緒に出ようよ!」

ルーとヴィヴィオが声を上げるとほかのみんなも私に目を向けた。

「いや、そんな顔されても私は出ないから」

「もしかして、道場のみんなに遠慮してるんですか?」

「それはない。いろいろな人と戦うのはもちろん好きだけど、いまはサポーターとして関わる方が楽しくなってるだけ」

そう答えるとヴィヴィオたちは残念そうな表情になった。

「そうですか。……リインとアギトから前に出てたって聞いていたのでちょっとだけ楽しみにしてたんですが、悠莉がそう言うなら仕方ないですね」

「へ……ちょ、ちょっと待って!?」

「? どうかしましたかヴィヴィオ」

急な止められ、イクスは自分が何か変なことを言ったのかと首を傾げる。
周りも驚いた表情で、私との会話を思い返そうとする。

「イクス、いま、ユーリが出たって言った?」

「ええ、言いましたけど……あ、もしかして知らなかったんですか?」

ヴィヴィオをはじめ、リオとコロナも激しく首を振った。

「ユー、ほんとうなの?」

「ホントホント。ほら、二年前にルーが作ったデバイス送ってもらったことがあったでしょ?」

「え、ええ……って、あのデバイスで大会に出たの!?」

「でもでも出場者の中に悠兄ぃの名前なんてなかった気がするんだけど……」

「そうだよね」

「ちゃんと出てたよ。変身魔法と偽名を使ってたけど。というより、その二つ使ってるにもかかわらずバレたら使う意味ないじゃん」

大人組はこれを聞いて苦笑いを浮かべている。

「私が誰なのか知りたいのなら調べてみれば? 一般公開されているDSAAのデータバンクに都市本選出場選手の紹介があるはずだから、そこでデバイスの情報見ればわかるかと」

話を聞きながらDSAAのデータバンクにアクセスしていたルーの周りに全員が集まった。

「えーっと、あのデバイスは……………って、……はい?」

選手一覧が表示される画面を見ているルーだけど突然固まった。

どうやら私を見つけたみたいだ。

ルーのデバイスを知らないヴィヴィオたちは固まったルーを心配して声をかけるがなかなか反応が返ってこない。
なのでルーの目の前で手を振ってみると

「どういうことよユー!?」

「おおぅ……。どうって書いている通りだけど?」

反応が返ってきたかと思えば、勢いよく振り向いてどこか慌てたようにルーが叫んできた。

「結局誰だったの?」

ルーの様子に困惑しながらもヴィヴィオが代表して尋ねる。
すぐには返事はなかったが、長い間の後、返ってきた。

「……………ユウ・リャナンシーよ」

「「「……え?」」」

「ユウ、リャナンシー? ……あの、ヴィヴィオさ「「「えええええーーーーーっ!?」」」っ?」

驚く三人とわけのわからない様子のアインハルト。
ヴィヴィオに変わってイクスがアインハルトに説明する。

「悠莉がユウ・リャナンシーという偽名を使っていたということはわかりますよね」

「は、はい。でもどうしてヴィヴィオさんたちはこんなに驚いているんです?」

「……見たほうが早いと思うので」

一覧を表示したままになったモニターを操作し始める。
リンクを飛び、次から次へとページを移る。
あるページで動作を止め、アインハルトにモニターを見せる。

「読んでみてください」

「は、はあ……―――第25回インターミドルチャンピオンシップ世界代表戦優勝者、ユウ・リャナンシー……………ぇ?」

「悠莉は世界代表戦優勝者。つまり二年前の次元世界最強の十代男子です」

-side end- 
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