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イベリス

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第二十話 ゴールデンウィークの予定その七

「一体」
「昔よくあった言葉です」
「そうなんですね」
「学者やマスコミ、作家の人達が言っていました」
「そうした言葉ですか」
「企業が他の国でお仕事をしたりものを売りますね」
「はい、それは」
 それは咲も知っていて頷くことが出来た。
「ありますね」
「これがです」
「経済侵略ですか」
「そう言われていたのです」
「お仕事じゃないんですか?」
 咲はきょとんとした顔で言葉を返した。
「それって」
「いえ、それがです」
「経済侵略ですか」
「日本の企業が他国で活動したりものを売りますと」
「あの、普通じゃないんですか」
「それをそう呼んだのです」
「何処が侵略か」
「その国の経済を占拠するので」
「いや、してないですよ」
「普通に考えればそうですが」
 しかしというのだ。
「それをです」
「そう言っていたんですか」
「今言った人達、知識人の人達は」
「そうなんですか」
「これは共産主義、マルクス主義の論理です」
 速水はこのことも話した。
「企業つまり資本家の活動なので」
「言っていたんですか」
「批判していました、財閥もです」
「あっ、教科書とかで」
「よく批判されていました」
「何か戦争を起こすとか」
「ビジネスは戦争が起こっては出来ません」
 速水はそれはきっぱりと否定した。
「到底」
「そうですね、戦争があれば」
 それならとだ、咲も頷いた。
「どうしても」
「物騒で商売なぞ出来ないですね」
「ここでも何かあったら」
 渋谷でもとだ、咲は言った。
「暴動があっても」
「お仕事は出来ないですね」
「そうですよね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「むしろ企業は戦争を望みません」
「財閥もですね」
「戦争を望むのは革命家か極端な宗教家です」
「十字軍みたいな」
「そうです、戦争を起こしても目的を達成したい」
「平和を望まずに」
「そうした考えなので」
 だからだというのだ。
「戦争を起こします、ですが戦争が起こっては商売が出来ない」
「だからですか」
「戦争は避けます」
「じゃあ経済侵略は」
「そんなものはありません」
 きっぱりと否定した。
「ですがそれをです」
「知識人の人達は言っていましたか」
「はい」
 そうだったというのだ。
「そして今もその発言について何も弁明していません」
「間違っていたとか」
「一切です、尚経済侵略の先は東南アジア等でしたが」
「東南アジアって結構発展してません?」
 咲は現代の状況から言った。 
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