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イベリス

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第二十話 ゴールデンウィークの予定その六

「テレビには出来るだけです」
「関わらないですか」
「そうしています」
「では出られることも」
「しない様にしています」
 そうだというのだ。
「そうしています」
「そうなんですね」
「危険なので」
 テレビという媒体がというのだ。
「人を騙すことにもってこいですから」
「騙すには」
「目と耳から。動画と声で頭に入れば」 
 そうなればというのだ。
「記憶に残ります。若しそれが過ちなら」
「間違った情報が頭に入って」
「そのまま残り」
 そうしてというのだ。
「知識になりますので」
「その人にそこまでの影響を与えるので」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「出来るだけです」
「テレビにはですか」
「出ない様に。関わらない様に」 
 その様にというのだ。
「しています」
「影響を与えないですか」
「多くの人に無責任に」
 速水はこう述べた。
「意識しています」
「そうなんですね」
「何事にも責任があり」
 そしてというのだ。
「背負います、その背負うものを放棄するなら」
「それならですか」
「占いはです」
「出来ないですか」
「他のこともです」
「そうなんですね」
「責任を放棄するなら時として犯罪になります」
 速水はこうも言った。
「まことに」
「犯罪って」
「マスコミはいつも無責任に言います」
 速水は咲に冷静な声で述べた。
「しかしです」
「責任はですか」
「言論の自由、報道の自由を言い逃れにして」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「責任を取らないんですね」
「どの国でもそうかも知れませんが」
 速水は難しい顔になって述べた、その間も左目の部分を隠している髪の毛は動かない。まるで見せるものではないものを隠しているかの様に。
「しかし特に我が国のマスコミは」
「酷いですか」
「どんな嘘を吐いてもいいのですから」
 責任を取らないというのだ。
「だからこそ腐敗し」
「酷くなっていくんですね」
「極限まで。腐敗を極めて」
「そうしてですか」
「それがずっとですから」
「相当に酷い世界ですね」
「自浄能力なぞです」
 それこそというのだ。
「戦前からなかったですが」
「戦争前からですか」
「これは今では学者の人達の世界もです」
「自浄能力がないんですね」
「運動家の様な人が大勢います」
 そうだというのだ。
「学説ではなく運動の様なことを言います。経済侵略という言葉をご存知ですか」
「何ですか、それ」
 咲はその言葉に目を瞬かせて問い返した。 
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