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ドリトル先生と幸せになる犬

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第七幕その四

 笑顔のままお家に帰りました、すろとこれまでご家族とふわりを黙って見ていた動物の皆が先生に言ってきました。
「ねえ先生、ふわりだけれど」
「本当に凄く明るい娘ね」
「最初に会った時を思えば」
「物凄く明るいわね」
「まるで太陽だったよ」
「人も生きものも辛いことがあったら暗くなるよ」
 先生は皆にその時のふわりのことからお話しました。
「どうしてもね」
「辛いこと、嫌なことがあったら」
「それで悲しくなってね」
「心も折れてよね」
「それで辛い気持ちになって」
「それでよね」
「暗くもなるんだ」
 そうなるというのです。
「どうしてもね」
「そしていいことがあったら」
「明るさを取り戻す」
「そうなるんだね」
「そういうことだよ、だからふわりもね」
 彼女もというのです。
「暗くなっていてね」
「今はいいことばかりだから」
「先生ともお話したから」
「それで明るくなったんだ」
「そういうことね」
「いや、明るさを取り戻したんだ」
 元々明るかったというのです、ふわりは。
「そうだったんだ」
「そうなんだ」
「ふわりは元々明るかったんだ」
「それが飼育放棄されて怒鳴られて」
「挙句に捨てられて」
「暗くなっていたんだ」
「そうだよ、これまで可愛がられていたのにそんな目に遭ったら」
 それこそと言う先生でした。
「やっぱりね」
「暗くなるね」
「どうしても」
「僕達だってそうなるかも」
「先生にそんなことされたら」
「皆そうだよ、人間だって同じ様な目に遭えば」
 先生はお茶を飲みつつ悲しいお顔になってお話しました。
「悲しくなるよ」
「そうだね、とても辛いことがあって」
 トートーが言いました。
「先生も今言ったけれど」
「暗くなる人って本当にいるね」 
 ジップも言いました。
「まるで別人みたいに」
「それまで明るかったけれど」
「それが本当に変わって」 
 チープサイドの家族も言います。
「暗くなって」
「それで無口になって俯いて」
「失恋とかいじめとかで変わるってね」
 ホワイティも思うことでした。
「本当にあるね」
「僕達だけじゃないね」 
 しみじみとです、老馬は思いました。
「こう考えると」
「人間も同じだから」
 ガブガブは深く考えて言葉を出しました。 
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