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イベリス

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第二十話 ゴールデンウィークの予定その二

「塔は最悪のカードと言われています」
「正でも逆でもですね」
「最悪の、破滅の意味しかない」
「本当に最悪のカードですね」
「女性の一人旅は少し間違えるか何かありますと」
「破滅ですか」
「はい」 
 まさにという返事だった。
「これは我が国でも同じです」
「日本でも油断しますと」
「いえ、油断せずとも」
「間違えると、ですか」
「そうなります」
 塔、即ち破滅に至るというのだ。
「ですから出来るだけです」
「一人旅はしないことですか」
「それが宜しいです」
「そうなんですね」
「旅はいいものですが」
 それでもというのだ。
「用心は必要なのです」
「そういうことなんですね」
「そうです、そこはお気をつけ下さい」
「わかりました」
 咲も速水のその言葉に真剣な顔で頷いた、彼女にしてもよく聞いて頭に残っていることだからである。
「そうします」
「楽しむことはいいですが」
「油断はいけなくて」
「そうです。安全であることも」
 このこともというのだ。
「注意しないといけません」
「そうなんですね」
「そのことはご注意を。ただ」
 ここでだ、速水は。
 またカードを引いた、そして今度は星の正のカードが出た。そのカードを見ながら咲に微笑んで話した。
「貴女のゴールデンウィークは非常にです」
「星は確か」
「正ならです」
「最高ですね」
「幸せが訪れます」
「そうなりますか」
「楽しまれて下さい」
 笑顔での言葉だった。
「そうされて下さい」
「わかりました」
 咲も頷いて応えた。
「そうさせてもらいます」
「それでは」
「お姉ちゃんやお友達と一緒に」
「お姉さんですか」
「従姉の。まるで本当の姉妹みたいに仲がいいんで」 
 それでというのだ。
「お姉ちゃんって呼んでいます」
「そうなのですか」
「それでなんです」
 咲はさらに言った。
「お姉ちゃんと一緒にカラオケに行ったりして」
「楽しまれますか」
「そうします、そして」
 それにと言うのだった。
「お友達とも」
「それではそうされて下さい」
「そうしてきます」 
 咲はまた笑顔で応えた。
「是非」
「はい、しかし私も旅は」 
 ここで速水は自分の話もした。
「お仕事ですが色々な国に行っています」
「そうなんですね」
「フランスやスペイン、ドイツやイタリアにも行っていまして」
「欧州多いですね」
「クロアチアにも行ったことがあります」
 この国にもというのだ。 
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