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車高があっても

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第二章

「何時でも動けるのがいいな」
「そうだよな」
「これはかなりいいな」
 実際に乗って動かし戦う誰もが思った、この移動距離の長さと故障の少なさは非常に有り難いと。このことには戦車兵達だけでなく部隊の他の者達も思った。
「安定して戦力になるからな」
「こんないい戦車ないぞ」
「これは使える」
「本当にな」
 こう話してだった、戦力として頼りにしだした。だが。
 シャーマン戦車はそれだけではなかった、何と。
 この戦車は移動しつつも的確な攻撃が可能だった、主砲の命中率がそれでもよかったのだ。
「七十五ミリで威力もそれなりで」
「しかも命中率がいい」
「おまけに移動しながら攻撃してよく命中するからな」
「このこともいいな」
「移動しながらの攻撃も多いからな」
「こんな有り難いこともないな」 
 こう言ってだった、そして。
 安心して攻撃が出来た、命中率のよさそれも移動しながらのそれもよくこのことも彼等は非常に重宝した。
「幾ら威力があっても命中しないと駄目だ」
「命中しない砲撃なんて何の意味があるんだ」
「ソ連軍の砲撃は命中率がかなり低いみたいだしな」
「ドイツ軍の戦車もここまでよくないぞ」
「当たる砲撃は大きい」
「こんないいことはない」
「しかも操縦も楽だ」
 この戦車のこのことも注目された。
「操縦の仕方をすぐに覚えられる」
「いざという時に咄嗟の行動も取りやすい」
「この操縦のしやすさもいいな」
「こんないい戦車ないぞ」
「本当にそうだな」
「車高は高くても」
 それでもというのだ。
「これだけ利点が多いとな」
「攻撃力も防御力も速度も悪くない」
「これは最高の戦車だ」
「しかも製造が楽で物凄い数だしな」
「これだけいい戦車ないぞ」
「車高の高さは問題じゃない」
 それこそとだ、アメリカ軍の誰もが言ってだった。
 彼等はシャーマン戦車を好んで使い様々な型も開発し使用していった。そして。
 アメリカ陸軍はこの戦車を主力戦車として戦い戦争に勝った、彼等の多くが言った。
「シャーマンは本当に役に立った」
「実にいい戦車だった」
「この戦車でどれだけ助かったか」
「本当によかった」
 彼等はこうして話した、そしてだった。
 シャーマンを褒め称えた、彼等はこの戦車を名車だと確信していた。車高の高さなぞその多くの利点を前にしては問題にならなかった。
 M4シャーマンは第二次世界大戦を代表する戦車の一つとして歴史にある、車高の高さは事実だったがそれでもだった。
 そのバランスのいい性能のよさから名車として言われている、その証拠に第二次世界大戦後の朝鮮戦争でもソ連軍が誇ったTー34に対して有利に戦った。第二次世界大戦はおろかこれまでの戦車の中でも第一の傑作と言われるソ連軍のその戦車にすらそうなった、これは一つの答えと言えるのではないだろうか。


車高があっても   完


                   2021・4・14 
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