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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-

作者:地水
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第11話:怪盗のライダー

 
前書き
 騎士、鬼、王、三人の受け継がれたライダーはその力に戸惑いながらも奮闘する。
ネオライダーを追い詰めた所、意外な乱入者が現れた。
その名は、海東大樹……! 

 
「やぁ、士。この世界じゃ久しぶりといったところかな」


突如現れた青年……海東大樹。
士たちと共に旅をして、時には争い、時には共に戦った男。
飄々とした性格の裏で何を考えているかわからない。
彼を知らないナイト達三人は、クウガに聞いてみた。

「ユウスケさん、あの人は……」

「アイツは海東大樹、俺たちと一緒に旅をしているやつなんだ」

「つーことは、お前達の仲間ってことか」

「うーん、でもどうにもそういう雰囲気じゃなさそうな気がするんだけど」

サガの言う通り、彼から放たれた攻撃はどう見てもこちらへ向けて放たれたものだった。
Dブレイドは海東へ向けて疑問を投げかける。

「海東……お前、何のつもりだ?」

「おいおい、忘れちゃったのかい?僕の行動理由はたった一つだよ」

【KAMEN-RIDE…】

そういうと、海東は愛銃・ディエンドライバーにライダーカードを装填。
銃口を頭上へ向けると、あの言葉と共に引き金を引く。

「変身!」

【DI-END!】

ディエンドライバーの銃口から放たれたライドプレートと共に、海東の周囲に緑、赤、青の鏡像が出現。
三つの鏡像が重なり合い、さらにライドプレートが頭部に重なって装着。
灰色だったボディ部分がシアン色に染まり、黒のアーマーを装着した仮面ライダーが立っていた。
その名は『仮面ライダーディエンド』、ディケイドと同じく、もう一人の世界を股にかけ旅をするライダーである。

「あの人も仮面ライダーだったんですか!」

「そういうことだ、小狼」

海東が変身したことに驚くナイトへ、ディケイドは顔を向けてそう呟く。
一方、ディエンドは腰のカードホルダーからライダーの姿が描かれた三枚のライダーカードを取り出すと、先程の要領で再びディエンドライバーへ装填する。

【KAMEN-RIDE…RAIA!】

【KAMEN-RIDE…IXA!】

【KAMEN-RIDE…SABAKI!】

「さぁ、僕からの奮発祝いだ」

ディエンドライバーから放たれた三つの光がナイト達目掛けて放出される。
三つの光はそれぞれ人の姿となり、やがてそこに立っていたのは三人の仮面ライダー。

一人は赤紅色のアーマーと、エイの意匠が入った仮面の騎士・ライア。
もう一人は白き装甲を纏った金色の十字架の仮面を持つ狩人・イクサ。
最後に現れたのは黒い筋肉質な体に赤い縁取りが特徴の鬼・裁鬼。

ディエンドによって召喚されたライダー達はそれぞれの武器を構えて、ナイト達へ向かって走っていく。
こちらへ向かってきた敵を向かい打つべくナイト達は応戦していく。
召喚されたライダー達が彼ら三人と戦っている事に不満を持ったクウガはディエンドへ向けて疑問を飛ばす。

「おい、何してんだ!?あの三人は俺達の仲間だぞ!」

「悪いね。身を覚えがない人だったもんで?何処で知り合ったんだい?」

「まったく、ややこしいことをしてくれやがって」

Dブレイドはいつものディエンドらしいまったく読み取れない行動へ向けて忌まわしそうにつぶやくと、Dブレイドはライドブッカー ガンモードでディエンドを狙撃する。
ディエンドは高く飛び上がって避けると、Dブレイドへ接敵して殴り掛かる。

「前にも言わなかったかい?お宝を求めるのが怪盗ってものさ」

「だからって小狼達を襲う理由にはならねえよ」

「おいおい、君はいつから名指し付きで他人に固執するようになったんだい?」

【ATTACK-RIDE…BLAST!】

ディエンドはからかうようにDブレイドへそう告げると、ディエンドライバーから放たれる誘導弾・ディエンドブラストをDブレイドへお見舞いする。
ダメージを負ったことにより、ディケイドの姿へ戻るとライドブッカーを向けて銃撃戦を始める。

「今度は何が目的だ!」

「決まってるじゃないか!この世界で一番のお宝を手にすることさ!!」

互いに互いの放った光弾を撃ち落としていく傍らでは、歌舞鬼と裁鬼、サガとイクサ、ナイトとライアの戦いが繰り広げていた。

二本の音撃弦を操る裁鬼に対し、歌舞鬼は音撃棒・翡翠で対抗。

銃剣一体型武器・イクサカリバーで切りかかるイクサを、サガはジャコーダーロッドで撃ち落としながら応戦。

エイの尾を模した鞭・エビルウィップを振り回すライアへ、ダークバイザーで攻撃を防ぐナイト。

三者三葉の戦い方をしていく中、混戦が続く中でクウガはあたりを見回して気づいた。
―――先程倒されていたはずのモーニスの姿がなかった。

「アイツ、何処に行ったんだ?」

遠くのほうまで視界を広げてみるも時には既に遅し、彼女は他の隊員と共に姿が消えていた。
大方、ディエンドの襲撃の時に隙をついて逃げ出したのだろう……。
そう思ったクウガは、ナイト達の応援に入るべく、彼ら三人の元へ向かった。


―――


同時刻
ディケイド達から離れた地下駐車場にて、モーニスの姿があった。
彼女は忌々しそうに壁へ向けて拳をぶつける。

「ちくしょう!あのままでいられるかってんだ!すぐに呼び戻せ」

「無茶をするのはよくないぜ?"モニカ"ちゃん」

「チッ……ウワバミィ!!」

モニカと呼ばれ、眼孔を見開いてその名を呼んだ相手を怒号を上げるモーニス。
やってきたウワバミは大げさに怖がる態度を出しながらも、彼は怒る彼女をなだめにはいる。

「まぁまぁまぁ、生きてるだけで儲けもんだよ」

「クッ、今度会ったらアイツらぶっ殺してやらぁ!!」

「ははっ、ぶっ殺すのには待って欲しいなぁ。ディケイドの仲間、にしては少々気になることが多すぎだよ、彼らは」

そう言いながら、ウワバミは手を上げて指を鳴らすと、彼の背後から何者かが一瞬で姿を現す。
天井から降りてきたのは、黄緑色の装甲を身に着け、腰にはカメレオンのデッキがはめ込まれたVバックルをつけた仮面の騎士。
『仮面ライダーベルデ』とも呼ばれるその仮面ライダーは、ウワバミへ向けて言葉を発する。

「御用か?」

「お疲れ、モーニスの回収でお疲れのところ悪いけど、もう一つお頼み申す」

「以下用ですか」

「ディケイド達一行の事を調べてきてくれ……特に、この三人については用心深くね」

ウワバミは三枚の紙をベルデへ受け渡す。
ベルデが見ると、そこに描かれていたのは小狼・ファイ・黒鋼の三人の似顔絵だった。
確認したベルデは無言で頷くと、そのまま姿を影の中へと消える。
従順な様子で従うベルデの事を気に入らないモーニスはウワバミの方へオルタナティブのカードデッキを要求する。

「おい、ウワバミ。デッキを返せ、オレはもう一度戦いに……」

「やめときなって、モニカちゃん。"災害"が来るのを知ったら流石に止めるって」

「その名で呼ぶんじゃねえ……つーか、災害って」

モーニスは『災害が来る』という言葉に疑問を浮かべる。
そんな彼女をよそにウワバミはノートパソコンを開いて操作すると、画面に浮かんだのはディエンドと戦うディケイド達の光景。
それを映し出した画面をににやついた表情で見ながら、『何か』が来るのを待っていた。


―――


一方そのころ、ナイト達四人のライダーはディエンドの呼んだ召喚ライダー達との決着はついていなかった。
無機質に攻撃を仕掛けてくるライア、イクサ、裁鬼へ苦戦を強いられている四人は武器を構えながら相手の様子を伺っていた。

「やれやれ、せっかくネオライダーが退いたってのにねぇ」

「つーかあれ、倒していいのか?」

「ああ、問題ない」

迂闊に相手を倒せない歌舞鬼の問いにクウガは答える。
ディエンドの大きな能力である『他の仮面ライダーを召喚する能力』よって呼び出されたライダー達はいわば、人形や傀儡に近い存在。
別段命の概念はないため、ナイト達が思いっきり倒しても問題ない。
そうと分かった三人は、手加減なく召喚ライダーを倒そうとする。

「だったら、あいつらを……」

ナイトがダークバイザーを手にして、一枚のカードを引き抜こうとする。
その時だった、四人の耳にとある電子音声を耳にしたのは……。


【START UP】


突如、銀色の閃光がナイト達の傍を通り過ぎ、ライア達へ向かっていく。
ライア達三人の召喚ライダーをその手に持った赤い刃を宿した剣で切り付けていく。
それを食らった召喚ライダー達は『φ』の赤い文字を浮かばせながら爆発……そのまま消滅した。
召喚ライダーを倒される光景を見ていたディケイドは驚く。

「なに!?」

「ふっ、ようやくお出ましか!」

【ATTACK-RIDE…ILLUSION!】

驚くディケイドをよそに、ディエンドは自身の分身を生み出すディエンドイリュージョンを発動。
6人に増えたディエンドはディエンドライバーを銀色の閃光へ向けて発砲。
銀色の閃光は銃弾の嵐を掻い潜りながら、ディエンドのところへ迫り、本物を狙って蹴り飛ばす。
ディエンドは近くの建物まで勢いよく叩きつけられてしまう。

「ぐあっ!?」

「海東!」

【TIME OUT】

電子音声と共に、銀色の閃光がその姿を現す。
装甲が展開されてコア部分が露出した胸部、漆黒のボディをかけめぐるエネルギーライン、そして赤く染まった単眼。
……ファイズ・アクセルフォーム。
現れた存在が自分がよく知るライダーであったことにディケイドは拍子が抜けた言葉を言う。

「ファイズだと?これを待っていたのか?」

【REFORMATION】

「………!」

アクセルフォームから胸部装甲を収納、金色の複眼と赤いエネルギーラインへ戻った通常形態へファイズは先程使ったエナジーハンドルブレード・ファイズエッジを構え、ディエンドの元へ歩いていく。
迫りくるファイズに対してディエンドは咄嗟に新しいライダーカードをディエンドライバーへ装填する。

「生憎だけど、ここまでのようだ」

【ATTACK-RIDE…INVISIBLE!】

ディエンドはファイズが迫る直前に自身を透明化、それによりその場を離脱した。
標的であるディエンドの存在を失ったファイズはこの場から去ろうとする。
そこへ、今までの戦いを見ていたディケイドがファイズを呼び止める。

「待て、お前一体何者だ?」

「………」

ファイズは何も答えず、ディケイド達を置いてこの場から消えた。
その後、変身を解いた士はファイズが去っていった方向へ見つめながら一人呟いた。

「アイツ、いったい何者だったんだ」

「士君!みんな!無事ですか!」

そこへ周囲が無事になったため夏海とサクラが一同の元へとかけつける。
サクラは小狼の元へ向かい、彼に怪我がないか確かめる。

「小狼君、大丈夫?」

「姫、おれは大丈夫ですよ」

「でも小狼君、無茶することがあるから……」

「ははは……」

小狼はやめさせることもできず、サクラにされるがままに確認される。
……サクラ自身、ただ見守ることしかできなかった事に不甲斐なかったのだろうか、念入りに確かめる、
そんな二人の様子を見て、何かを察した夏海は士に尋ねる。

「士君、もしかしてあの二人って……」

「さてな、今はそっとしておいてやれ」

「仲がいいもんね、二人とも」

ユウスケはうんうんと頷きながら、小狼とサクラの二人のやり取りを見守る。
……小狼とサクラの仲が思った以上に深いことに。
彼らのやり取りを見ている三人の傍らで、黒鋼は変身音叉を見ながら呟いた。

「しっかし、仮面ライダーってのはすごい力だな。変身して分かった」

「そうだねぇ。戦えないオレとしてはありがたい助っ人だよ」

「はん、何が戦えないだ……あんなに圧倒していたじゃねえか」

「今回上手くいっただけだよ」

ファイはそう言いながら、黒鋼の追求を笑顔で誤魔化す。
黒鋼はいつもの彼の対応に眉を顰めるが、ファイは別の話題に差し替えるように思い出す。

「そういえば、海東とかいう人だっけ。妙な事を言っていたね」

「あん?何をだ?」

「お宝の事か?アイツにとってはいつもの事だろ」

士はやれやれといった表情でそう答える。
実際、海東はここに来る前の世界では様々なお宝を狙っていた。
ファイズギア、G4チップ、デンライナー、カブトゼクターといった特別な力を持った物を"価値のあるもの"として盗もうとしていた。
ファイは士と夏海に対して"海東が放った言葉"を聞き返す。

「彼、『この世界で一番のお宝を手にれる』って言ってたよね」

「ああ、そうだ」

「ええ、海東さん確かにそう言ってました」

「モコナが言うにはどうやらこの世界にはサクラちゃんの羽根が存在するんだよね」

「おい、まさか……」

ファイの語った話に黒鋼はとある結論にたどり着いた。
それは、今は話を聞いていない小狼とサクラにとっては丁度聞かないでよく、しかし決してよくない『答え』だった。


「―――もしかしたら、海東大樹はサクラちゃんの羽根を狙っている可能性もあるってこと」


―――小狼達の仮面ライダーとして初めての戦いは無事に終わった

―――だが、この世界での戦いは激しさを増す予感がしていた

 
 

 
後書き
 どうも地水です、GWはどうお過ごしでしょうか?

予告通りの海東参戦、10話もどこ行っていたんだお前←
そして相変わらずのお宝優先、彼が狙うお宝は一体……?
挨拶代わりの召喚ライダーでおもてなし、超電王の時といいなにがしたいんだ大前

一方そのころ、ネオライダー組には新たなライダー・ベルデが登場。
ウワバミは小狼達一行を怪しみ、彼らの調査を依頼……。
作中の人物の中でもこいつに関しては一番企みが読めない←

初登場、仮面ライダーファイズ。
なぜ登場したのか、なぜ真っ先にディエンドを襲ったのか、なぜディケイド達には意を解せず立ち去っていたのか…。
その理由は、宝城〇夢ゥ!
君が〇〇〇で●●●に×××したからだ!
ヴェーハッハッハッハッハッハッ!!
(※ネタバレ配慮のため、檀黎斗で隠しました)


次回、久しぶりの日常回。
 
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