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帰ると

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第二章

 寝室の扉を勢いよく開けて中に飛び込むとだった。
 ベッドの上に妻の杏がいた、茶色のロングヘアでやや垂れ目で左の目尻に黒子がある。眉は太めで長い。背は一六五程でお碗の様な胸で見事な腰でウエストは閉まっている。艶っぽい唇がやや面長の顔に似合っている。その妻が誰かの上に全裸でいたがその下にいたのは。
 黒髪を短くしている妻と同じ位の年齢の女性だった。はっきりした猫を思わせる目で背は一六〇程だ。スタイルはすらりとしたもので胸はあまりなく全体的にボーイッシュだ。杏子はその彼女の上にまたがっていた。
 妻もその女性もだ、部屋に飛び込んできた森山を唖然とした顔で見ていた、そしてその顔は彼も同じだった。
 一瞬場が固まってから森山は妻を指差して言った。
「あの、その人女の人だよね」
「あなた帰ってたの」
「いや、それよりもね」
 全身汗だくになって妻に言った。
「その人は」
「女の人よ」
「そうだよね、男の人じゃないわよね」
「また言うけれど女の人よ」
「浮気かな」
「その、それは」
「とりあえず服を着てね」
 妻にこう言った、何とか落ち着きを保って。
「それで話そうか。そっちの人もね」
「わかりました」
 これまで動きを止めていたショートヘアの女性も応えた。
「それじゃあ」
「うん、どうも事態が把握出来ないから」
 相手が男ではと思った、だが女とは全く想定していなかったからだ。それで彼も落ち着くことにしたのだ。
 まず二人が服を着るのを待ってだった、そのうえでリビングでお茶を飲みながら三人で話した。妻は夫に言った。
「実は私達結婚前からこうした関係で」
「僕と結婚する前に付き合っている時も」
「その前から。高校生の時から」
「そうだったんだ」
「宮原芳香といいます」
 ショートヘアの女性も名乗った。
「先輩とは一つ下で同じ高校で同じ部活で」
「確かバスケ部だったよね」
「そこで知り合って色々教えてもらっているうちに」
「そうした関係になったんだ」
「はい、大学も一緒でお互い就職してからも」
「成程ね」
 森山は紅茶を飲みながら応えた、何とか自分を保とうと飲んでいるが次から次に飲んでいる。
「同性愛で」
「そうです、ただ私も男の人と交際していて」
「二股になるのかな」
「いえ、男の人はその人だけで」
 芳香は森山にはっきりと答えた。
「その他の人とは」
「男の人はなんだ」
「関係がありません」
 このこともはっきりと答えた。
「誓ってです。女の人も」
「女の子は芳香ちゃんだけで」
 杏も言ってきた。 
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