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イベリス

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第十五話 慣れてきてその六

「そして絵にも」
「そうなんですね」
「あのお店ではルーン文字のペンダントやイヤリングもありますね」
「ルーン文字って北欧の昔の文字ですね」
「はい」
 速水は微笑んで答えた。
「そうです」
「何か魔力が備わっているとか」
「あらゆる文字がそうですが」
「ルーン文字もですか」
「むしろあの文字は特に魔力が強く」
 あらゆる文字の中でもというのだ。
「ただそれを刻んでいるだけで」
「強い魔力がですか」
「備わっています」
「そうですか」
「はい、そして」
 速水はさらに話した。
「あのお店でもありますね」
「ルーン文字のアクセサリーが」
「あの人はお店の全ての商品に注ぎ込んでいますが」
 己の魔術をというのだ。
「ただそれだけでも」
「ルーン文字を書いているだけで」
「力があります」
「そうなんですね」
「ですから多くのお経やお守りも」
「御利益がありますか」
「そうです、僅かであっても」
 それでもというのだ。
「左様です」
「そうですか」
「そしてあのお店は」
「その人が、ですか」
「ですからかなりの守護をする力が」
 それがというのだ。
「備わっています、買われて損はないです」
「そうですか」
「ですから」 
 それでというのだ。
「魔術師は実在していて」
「魔術もですね」
「左様です」
 答えは述べているがはっきりとその単語を言わない、速水は今は咲に対してその様に話を続けていった。
「そのことは」
「そうですか」
「ただ。あの人にはご注意を」
 速水は微笑んでこうも述べた。
「くれぐれも」
「といいますと」
「非常にお奇麗ですが」
 それでもというのだ。
「実は無類の女性好きで」
「あれっ、あのお店の店長さんは」
「女性ですね」
「というと」
「男性も嫌いではないのですが」
「女性もですか」
「むしろ女性の方が遥かにでしょうか」
 こう咲に話した。
「そうした人です」
「そうですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「あの人にはです」
「注意してですか」
「接して下さい、そうされる時は」
「わかりました」 
 咲は速水のその言葉に頷いて答えた。
「そうします」
「その様にしてくれれば。ただ私の気を感じれば」
 その魔術師がというのだ。 
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