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イベリス

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第十五話 慣れてきてその二

「毎年旅行行くけれどうちは基本夏だしね」
「夏なの」
「ゴールデンウィークは行かないの」
「そうなの」
「うん、まあお休みならね」
 それならとだ、咲はさらに話した。
「それだけでもいいしね」
「休めるっていいわよね」
「それだけで」
「やっぱりそれだけで違うわよね」
「本当にね」
「それでどうせならね」
 学校が休みならというのだ。
「アルバイトしてね」
「お金稼いで」
「それでそのお金でお買いもの」
「そうするのね」
「そしてね」
 それでというのだ。
「後で遊べる時にね」
「そのお金で遊ぶ」
「アルバイトのお金で」
「そうするのね」
「そうするわ、ただね」
 咲はこうも話した。
「働いてるお店占いのお店だけれど」
「あれでしょ、渋谷というか都内でも有名な」
「物凄い当たる占い師さんのお店よね」
「109のビルにあるね」
「そのお店よね」
「何か店長さん時々ね」 
 速水の話もした。
「お店空けるらしいのよ」
「出張とか?」
「出張占い?」
「小山さんのお店の店長さんそうしたこともしてるの」
「そんな占いもあるのね」
「そうみたいね」
 咲は速水のそうした事情を知らないまま述べた、もっとも彼と出会って間もなく知らないことばかりだ。
「どうもね」
「占いも色々ね」
「出張占いもあるのね」
「そうなのね」
「そう、あと雑誌でも連載持っていて」
 速水のこのことも話した。
「そっちの占いもされてるらしいわ」
「忙しい人みたいね」
「やっぱり当たるからにはね」
「売れっ子で」
「それで雑誌でも連載持ってるのね」
「結構なものね」
「ええと、お名前はね」
 彼のそちらのことも話した。
「速水丈太郎さんっていうの」
「その人って」 
 その名前を聞いてだ、友人の一人がはっとなった顔で述べた。
「物凄く有名な人じゃない」
「雑誌で連載持ってるから、いや」
 ここで咲は前に別のクラスメイト達に言われたことを思い出した、そのうえではっとした顔になって述べた。
「物凄く当たって美形だから」
「そう、それでよ」
「有名なのよね、速水さん」
「そう、美形のカリスマ占い師でね」
 それでというのだ。
「凄くね」
「そうだったわね」
「そうよ、この人でしょ」
 この友人は自分のスマートフォンを取り出した、そこにある速水の画像を見せた。そこにいる彼も整った外見だった。
「そうでしょ」
「ええ、そうよ」
 咲もそうだと答えた。 
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