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優しさに包まれる子猫達

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第二章

「気になって」
「保護したんですね」
「子猫の時に。名前はチクタクにしました」
「それで、ですか」
「一緒にいます、拾った時は子猫でしたが」
 それでもというのだ。
「今はこうしてです」
「大きくなったんですね」
「はい、いい子ですよ。人懐っこくて愛嬌があって」
「ニャア」
 見ればハンブルにもだった。
 チクタクは喉を鳴らしつつ近寄って来て身体を摺り寄せてきた、ハンブルもその彼を見て笑顔になった。
 カンサスでの仕事を終えて家に帰ると今度はだった。
 彼の祖父、一緒に暮らしているロイ白髪頭で眼鏡をかけた老人の彼がブラウンが多い三毛の雌の子猫ハートと笑顔で遊んでいた。
「よしよし、可愛いねえ」
「ニャアン」
「またハートと一緒なんだね」
「うちに来てくれてよかったよ」
「むしろハートが来てよかったと思ってるよ」
 ハンブルは祖父に笑って言った。
「お父さんもお母さんもだけれど特にお祖父ちゃんがね」
「可愛がっているからかな」
「それでだよ、そんなに可愛がってもらったら」
 それこそというのだ。
「誰だって嬉しいよ」
「そうなんだね」
「うん、じゃあこれからも」
「ハートと一緒にいるよ」
「そうするね」
「今のわしの生きがいだよ」
 祖父は愛猫を腕の中に抱いてにこにことしていた、猫も喉をごろごろと鳴らしていた。ハンブルもそんな彼等を見て笑顔になった。そして。
 地下鉄やカンサスで見たものを思い出しながら仕事に戻った、そうしつつ戻った仕事は自分でもわかる位生き生きとしていた。笑顔になっているが為に。


優しさに包まれる子猫達   完


                  2021・7・19 
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