星河の覇皇

「そこまで弱いのか」
「訓練度が低いので」
「だからか」
「まことに軍規軍律の教育、市民交流に重点が置かれ」
「災害救助にもだな」
「その訓練にも時間を割いていて」
「二十四時間訓練漬けでもないな」
　八条にこうも問うた。
「そうだな」
「はい、所謂ブラック企業の様なことは」
　この時代でもこう呼ばれる企業は存在していて発見され次第処罰や社会的制裁を受けることになる。
「出来ませんので」
「だからだな」
「はい、正規軍はです」
　非常にというのだ。
「それは無理です」
「労働条件が悪いとか」
「それだけで、です」
「人が来ません」
　募集しても志願者が来ないというのだ。
「連合軍は志願制の軍隊です」
「徴兵制ではないからな」
「徴兵制の国なら軍隊は常に一定の数が集まりますが」
「義務だから士気が低いな」
「そして二年や三年で入れ替わります」
　徴兵で集めた兵達がだ。
「そうなりますので」
「だからだな」
「はい、ですから」
　それでというのだ。
「今の連合で徴兵制は出来るものではありません」
「してもな」
「支持を得られないですし」　
　政策として提示した時点でだ。
「しかも軍は専門職です」
「それぞれの職種のな」
「ですから義務で来る人よりもです」
「何年もいてくれる方がいいな」
「ですから志願制で、です」
　この制度によってというのだ。
「何年も働いてくれる人が必要です」
「他の公務員と同じだな」
「そうです、警察官の様に」
　連合ではよく軍人と警察官は同じ様なものだと考えられている、市民の安全を守る職業だからである。
「そうですので」
「徴兵制ではなくだな」
「志願制であるべきですし」
「志願制ならばな」
「ブラックなら来ません」
　そうした勤務状況ならというのだ。
「ですから」
「それでだな」
「はい、勤務時間もです」
　待遇の一環としてだ。
「考慮しないといけないので」
「それでだな」
「訓練もです」
「行う時間が限られているか」
「その中で実戦の為の訓練となると」
「それはだな」
「非常に限られています」
　八条はアッチャラーンにこの現実を話した。
「ですから」
「それでなのだな」
「はい、軍規軍律への教育そして他の座学にです」
「災害の際の訓練もだな」
「そして市民交流とです」
　こうした他にも為さねばならないことがあってというのだ。
「あってです」
「実戦の為の訓練はか」
「行う時間が短く」
　それでというのだ。