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星河の覇皇

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第七十八部第二章 マウリアへの警戒その八

「それに僅かでも損害が出ることは」
「それはだな」
「連合では」
「そうだな、避けたいところだ」
「一人でも戦死は戦死です」
 八条はこの事実を指摘した。
「そしてその分です」
「政権の批判につながってだな」
「志願者も減ります」
「だから出来る限りか」
「戦死者は出してはなりません」
「それが連合だな」
「大衆型民主主義の軍隊です」
 八条はこうも言った。
「損害はそのまま政権の批判に直結します」
「戦争になってもだな」
「損害は出さないことがです」
「理想だな」
「そうです、ですから他国が少しでも優れた装備になることは」
「避けたいと思うか」
「いささか。私自身もですが」
 ここでは自分を振り返った八条だった。
「神経質になっています」
「敵に少しでも優れた装備を渡したくない」
「その様に、ですから」
「我々から見て骨董品でもか」
「火縄銃がマスケット銃になろうとも」
「こちらが自動小銃を使っていてもだな」
「それでもです」
 例えそうなっても装備に歴然たる差があってもというのだ。
「そう考えていました」
「ではこちらはだ」
「自動小銃をですね」
「さらに進化させればいい」
「そうした銃で装備すれば」
「いいだけだな、民間技術も然りだ」
 こちらもというのだ。
「幾ら何でも博物館にある様なものはな」
「放置してですね」
「やっていけばいい、スクラップ置き場にあるものもな」
 そうした場所に捨てられているものもというのだ。
「ブラックボックス、今以上に厳重にしてだ」
「守っていってだ」
「神経質にならずに」
「そうしていくべきではないか」
「そうですか」
「私もジャバル副主席は危険だと思う」
 この見方はアッチャラーンも同じだった。
「連合では人気は高いし私も嫌いではない」
「やはり被差別階級から身を起こされただけあって」
「素晴らしい資質の持ち主だ」
「それ故にですね」
「私も嫌いではない、しかしな」
「それでもですね」
「謀略家で野心の為に手段を選ばない」
 アッチャラーンもこう見ているのだった。
「だからな」
「それで、ですね」
「連合にも現在進行形で仕掛けている」
「だからこそ」
「危険視している、しかし古い技術まではな」
「渡してもいい」
「そうだ、そして我々はな」
 連合はというと。
「今以上にな」
「優れた技術を生み出して」
「役に立てていこう」
「連合の為に」
「そうしていこう、そしてな」
「連合はさらに発展していくべきですね」
「そう思う、だが連合軍は弱いと認識していたが」
 アッチャラーンは首相であり軍の指揮に携わることもある、それで八条に対してこうしたことも言った。それも呆れ顔で。 
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