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イベリス

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第十話 アルバイトその九

「そうしたことも」
「だったらね」
「最初から言わないことね」
「そして恨みを買わないことよ」 
「それが一番ね」
「軽い気持ちが一生になるから」
 今言っている通りにというのだ。
「まして傷付いた人がおかしくなったらね」
「言われてそれで」
「もっと酷いわよ」
「おかしくなった人に一生恨まれたら」
「刺されたり殺されたくはなくても」
 それでもというのだ。
「それ以外のやり方は幾らでもあるから」
「やり返す方法は」
「過去を家族やお友達に言ったりね」
「今言った風に」
「意外なところで会ってやり返されたり」
「将来に」
「お仕事で一緒になったりして」
 そうしてというのだ。
「お仕事ミスする様にされたりとかね」
「やられるから」
「本当に人は何時何処で会うからわからないのよ」
「運命の再会ね」
「その再会が自分を恨んでる相手とってこともあるのよ」
 咲にこのことを忠告した。
「だからね」
「最初からなのね」
「言わないことで」
「恨まれないことね」
「そうしてね」
「わかったわ、失恋も怖いのね」
「人の心の傷、トラウマにもなることだから」
 それ故にというのだ。
「怖いのよ」
「トラウマね」
「心に受けた傷は身体に受けた傷よりも治りにくいのよ」
「身体に受けるよりも」
「そちらの傷も残ることがあるけれど」
 外傷から話すのだった。
「トラウマはもっとね」
「治りにくくて」
「そう、残ってね」
「ずっと心を傷めるのね」
「そうしたものだからね」
「注意しないといけないのね」
「そうよ、覚えておいてね」
 トラウマのこともというのだ。
「いいわね」
「そうしていくわ」
「お願いね」
「ええ、トラウマね」
「咲ちゃんにもあるかしら」
「私はあまり」
 咲は考える顔と声になって愛に答えた。
「ないと思うけれど」
「そうなの」
「お姉ちゃんはあるの?」
「私もね」
 これといってとだ、愛も考える顔と声になって答えた。二人共顔はわからないがそれでもそうなった。
「別にね」
「ないの」
「そうなの。けれどある人はね」
「あるのね」
「中には何度もトラウマを受ける事態を経験して」
 そうしてというのだ。
「かなり酷い人もいるわよ」
「そうした人もいるのね」
「失恋でもそうよ」
「今お姉ちゃんがお話してくれてる通りに」
「ある人はあるから」
「そうした傷を作らない様にして」
「そして傷付けない様にして傷付いた人は」
 そうした人のことも話した。 
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