| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

熊を助ける

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

「もうダイレクトの情報を頼りに」
「ここまで、ですか」
「途中何度も介抱もして」
 そうもしてというのだ。
「ここまで来ました、そして獣医さんに見たら脱水症状で栄養失調で」
「ずっと飲んで食べていなくて」
「車に乗せるまで母親がいるかって思って気をつけていましたが」
「母熊はいなかったですか」
「どうも。それで今は」
「ここで、ですね」
「育ててもらっています」
 こうアーウィックに話した。
「そうしてもらっています」
「そうですか」
「はい、そして」
 それにと言うのだった。
「フェイスブックでは」
「ああ、母親がいたんじゃとかですね」
「野生の生きものを勝手に助けていいのかとか」
「書かれていますか」
「はい、そうも」
「そうした意見はどうしてもありますね」
「それで思うのですが」
 ハンコックはアーウィックに曇った顔で言った。
「私がしたことは正しかったか」
「間違っていたか」
「批判もありますので」
「そうですか、ですが多くの人は」
「正しかったと言ってくれます」
 このことも話した。
「よくやったと」
「私もそう思います」
 アーウィックは笑顔で答えた。
「その様に」
「そうですか」
「少なくとも貴方が助けなければ」
 その子熊を見ながら話した、今は元気に果物を食べている。
「彼は今こうしていません、脱水症状で栄養失調でしたね」
「はい」
「もうそれは母親がです」
「いなくなっていましたか」
「熊は子供をとても大事にしますから」
 そうして育てるからだというのだ。
「若し母親がいれば」
「それならですか」
「そんなことにはなっていません、そして貴方が助けないと」
「この子はここにこうしていない」
「命を助けることはそれだけでいいことです」
 こう言うのだった。
「ですから」
「そうですか」
「はい、悪いことではないです」
「それでは」
「胸を張られるべきです」
 ハンコックに笑顔で話した。
「誇らずとも」
「間違ったことはしていない」
「そう思われて下さい」
「そうですか」
「はい、私もそう思っていますので」
「ガウ」
 鳴いた熊も見た、そして。
 フロリダで熊を助けた時のことを思い出した、自分のことも思って間違っていないと結論付けた。そのうえで。
 ハンコックに顔を戻して彼に言った。
「ここを歩いていきますか」
「センターの中を」
「そうして自然について考えどう守っていくべきかお話しますか」
「生きもののこともですね」
「そうしませんか」
「そうですね、それでは」
 ハンコックも頷いた、そして自然の中で自然について考えどう守っていくかを話した。その後で彼はフロリダに戻り。
 熊を返した林を見て自分なりに自然を守っていこうと思った。その決意をあらたにしたのであった。


熊を助ける   完


                2021・6・19 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧