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【自作イラスト追加しました】ちゃちゃっと絵を描く能力で世界最強!~追放されたい俺を女神さまが放してくれない~

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俺以外の異世界人と話をしてみた

 ダイトさんは次の初心者への試練が待っているので、との事で去っていった。
 代わりにこの世界に呼ばれたらしい異世界転移者? らしき、コジローと呼ばれた人物がやってくる。
 身長は同じくらいで、大人しそうな雰囲気だ。

 とりあえず彼と目があったため会釈し、

「こんにちは、俺は杉本 亮(すぎもと りょう)です。リョウと呼んでください」
「ご丁寧にどうも。僕は、森田小次郎(もりたこじろう)です。ここではコジローと呼ばれていますね」
「あ、それで早速なのですが……」

 と言って、俺はリセとクレアを呼んで事情を話し、協力をお願いするも、

「聞いた範囲だと戦闘系の能力が必要だね。そうなると僕の能力はあまり向かないかな」
「そうなのか?」
「うん、物を作ったりする【生産系】のゲームに特化しているから……ちょっとした採取といった材料を集めるのに必要そうな魔法はいくらかあるけれど、戦闘系のRPGタイプの能力より、物を作ったり合成したりといった方の能力の方が僕は強いからね。この世界に来ると発現する固有魔法(チート)も、ちょうどそういったゲームをした時だったから……物を作り初めと終わりが【同一】になる能力【始まりと終わり(スタートエンド)】だからね。作り始めたと思ったらすでに出来上がっていた、といった能力なんだけれど、戦闘には向かないよ」
「そうか……そうか」

 俺はがっかりしながらそれを聞いているとそこで彼が、

「ところで君の固有魔法(チート)は?」
「俺の魔法は、【ちゃちゃっと絵を描く】能力だ」
「それは面白そうだけれど戦闘に向かないな」
「そうだろう、だから女神さまの元で絵を描いたり魔法陣を描いたりしていたんだ」
「へ~。魔法陣……どんな魔法を作っていたんだ?」
「よく作らさせられていたのが、魔力回復とか体力回復とか両方回復とかいったポーションを【美味しくする】魔法陣だったかな」

 確か色々な絵を描く合間に、女神の神官である女性たちに、ちょっと来て作ってね、今日はパイナポー味でお願いするわ、と言って魔法陣を描かされていた。
 結構書かされた記憶があるが……と思っているとそこでコジローが目を輝かせて、

「まさか最近流通している、味のいいポーションの作成者、もしかして君なのか?」
「え? いや、そういえば味が良くなったとかなんとか言っていたような……」
「それまでは大怪我した人でも、あのポーションは止めろー、と暴れるくらい不味くて、数人がかりで手足と顔を抑えて無理矢理飲ませていたからね。そして余りの不味さに飲んだ人が気絶する状況だったから、それが抑えられて、みんな気軽に怪我をするようになって、美味しいポー^ションが切れて不味い物を飲む羽目になったりしたのが昨日の話だね」
「……そんな不味かったのか」
「うん。ただ美味しいポーションは美味しいしすぐに回復するから、様子見でゆっくり寝ていてくれなくなるから……ほら、まずいポーションだとそのまま気絶するから体も休まるんだけれど、美味しいのだと元気になるだけですぐに動こうとしちゃって。だからこれからはやはり、不味くした方が良いんじゃないかって議論も出てきているんだ」

 との事だった。
 俺の作った魔法陣で作られたポーションがそんな事に、と俺は思いつつ、話は逸れたが、

「その話は置いておくとして、戦闘に強そうな能力の異世界転移者はいないのか?」
「うん、そういった魔王退治に有能そうな戦闘系能力者は真っ先に女神さま達同士で取り合いになって手元に置いたり、派遣したりしているから、今、自由度の高い異世界転移者は戦闘系でないか、扱いが難しくて戦闘に向かないかのどちらかだろうね」
「じゃあ戦闘系の異世界転移者と合流するか、女神さまとの接触が良いか? でも今一人は行方不明でもう一人は旅行中だしな」
「え……旅行中は……女神さまも息抜きがっていうのは分かるけれど、行方不明?」
「そうなんだ。そうすると残りひとりの女神さまとの接触になるが、ここからだと結構遠いな。……いざとなったら、女神さまとの連絡する間二人を預かるくらいは、コジローにたのめないですか?」
「それくらいなら良いけれど君は?」
「俺、逃げてきたから」
「なんで?」
「色々あるんだ。それに冒険もしたかった」
「あ~、それは、なるほど」

 そう伝えるとなぜかコジローは納得してそれ以上は言わず、代わりに、

「だったら、オレガン洞窟の依頼を受けてみると良いよ。あそこは入り口付近は初心者向けだし、そこそこ利益も出やすいし、すでにマップも出来ているし……比較的安全だからね」
「じゃあそこに行ってみます」
「うん、まあ必要と思えないけれど、【救急缶】渡しておくね。異世界人のよしみで一個無料だよ」

 そう言って銀色の手のひらサイズの缶詰をコジローはくれて、しかも依頼を探しに行ってくれた。
 このよく分からないアイテムは何だろうと思って見て見ると、缶詰の周りに細かな文字で使用方法などが書かれている。
 ゲームであれば説明書を読むよりまずゲームがしたいからゲーム、後はチュートリアルだ、それでも積んだら説明書という感じではあるが製紙がかかる場合も考えられるから一応、救急とついているしと思ってオレが読もうとした所でリセが、

「オレガン洞窟に行く気なの?」
「それはまあ」
「だったら都合がいいわね。私の知っている範囲のシナリオで、その洞窟で一応はイベントがある」
「あ~、それなら危険だから止めた方が良いのか? 攻撃されるのも嫌だしシナリオ逸脱したいんだろう?」
「でもハッピーエンドルートにいくならその辺りでフラグを立てたいし、シナリオ通りにわざと進んで確かめたいことがあるの」
「確かめたいこと?」

 そう問いかけるとリセが少し黙ってから、

「相手が、つまり魔王側が私の世界の乙女ゲームの【シナリオ】を持っているのかどうか、知りたいの」

 と言ったのだった。 
 

 
後書き
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