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猫みたいな犬

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第一章

                猫みたいな犬 
 アメリカメリーランド州のヨーク家の愛犬タリーはシベリアンハスキーとマラミュートそして他に何種類かの犬の血が入っている、だがその外見はシベリアンハスキーに最も似ている。黒と白の毛であり大きさもそれ位だ。
 実に犬らしいもっと言えば狼を思わせる外見だ、だが。
 その彼を見てだ、家の娘でありシャーロットはどうかという顔になって母のメアリーに対して言った。二人共蜂蜜色の髪の毛を後ろで束ねていて青い目だ。だが母の眉は細いが娘の眉は父親のトーマスの血を引いて濃く太い。
「あの、タリーまたね」
「猫みたいになってるのね」
「そんな座り方しているわ」
「そうね」
 そのタリーを見てだ、母も言った。
「またね」
「猫みたいに座ってるわね」
「この子すぐにそうするのよね」
「ワン」
 見れば実際に猫の様に四角い座り方をしている、骨格は犬と猫で違うが。
 わりかし自然に猫の様にそうなっている、しかもくつろいでいてだ。母は娘に対して言った。
「うちはずっと猫が何匹もいるからね」
「それでなの」
「タリーは産まれてからずっとあの子達と一緒にいるから」
 だからだというのだ。
「それでね」
「猫みたいなの」
「今もでしょ」
「うち四匹いるからね」 
 娘が言うとだった。
 シャム猫が白猫と黒猫、そして自分より少し小さいシャム猫を連れて来た。娘はその猫達を見て言った。
「ローズにね」
「そうね」
 母はそのシャム猫を見て言った。
「この子にね」
「マーガレットに」
 今度は白猫を見て言った。
「それでね」
「サフランにね」 
 黒猫も見た。
「それでね」
「ソードもね」
 最後に小さなシャム猫を見た。
「いるから」
「もうずっとね」
「猫と一緒にいたから」
「それでね」
 その為にというのだ。
「タリーもね」
「猫みたいになったのね」
「そうなのよ。それも男の子なのに」
 タリーの性別の話もした。
「今うちの猫はソード以外女の子でしょ」
「ええ」
「代々女の子がいたから」
 猫達の中にというのだ。
「それでね」
「女の子の影響もあるの」
「流石に自分を女の子とは思っていないけれど」 
 それでもというのだ。
「犬とは思ってないわね」
「猫と思っているの」
「そうね。お散歩には行っても」 
 これは犬だから行く、生きものの本能としてだ。
 それでだ、毎日行くというというのだ。
「それよりもああして座ったり日向ぼっこしたり」
「そういったことの方が楽しいみたいね」
「どうもね、今だってね」
「ワン」
「ニャン」
「ニャオン」
「ミャン」
「ミャウン」
 タリーは四匹の猫達が自分のところに来るとだった。
 立ち上がって尻尾を振ってだった。
 彼等に身体を摺り寄せて一緒に遊びだした、確かに骨格は犬であるし動きもそこから離れることはないが。
 それでもだ、猫に似ていて娘は言った。
「本当に猫みたいね」
「そうでしょ」
 母も言った。 
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