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【自作イラスト追加しました】ちゃちゃっと絵を描く能力で世界最強!~追放されたい俺を女神さまが放してくれない~

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まず、俺が女神さまから逃げ出したところの話をしよう

 道が舗装されていないのは、都市を出てしまえばよくある話だった。
 俺、杉本亮(すぎもと りょう)自身も、この世界に来て都市以外の場所に行く機会もあったので何度も経験がある。
 その度に車酔いのようなものをするので、それ用の薬草は事前に嗜むようになっていた。

「経験、全て経験だ。これまでの地道な情報集めは正しかった。そう、俺は全て正しい、ふははははあ」

 と、自画自賛しながら、計画が上手くいった俺は高揚するその気持ち全てを発散すべく【小声】で呟いた。
 理由は【まだ】安全だと俺は思えないからだ。
 すぐそばに人がいる。
 
 けれどそろそろこの荷物を積んだ馬車から飛び降りて、何食わぬ顔で旅人のふりをしてもいいかもしれない。
 そのための服も装備も事前のこの情報も、すでに準備済みだった。
 この一年でこの世界の状況は一般レベルにあつめる事が出来たと思う。

 それに俺の能力が先頭に向かないと言っても魔法のあるこの世界でもあるので、【魔法】を使う機会も少しは欲しい。
 その辺りも逃げてきた理由の一つだ。
 もっともそれらはあそこから逃げ出した一番の理由ではないわけだが…。

「申し訳ないけれど、アレはちょっと…」

 俺は真剣に頷いてからそう呟いた。
 そろそろ抵抗できなくなりそうなので逃げてきたのだ。
 これまでにこの世界に呼ばれて親切にしてもらった分はいくらか返せたと思う。
 
 だからこの世界に出現した【魔王】関連が倒されたら、オレ達転移者は元の世界に返されるらしい。
 場合によっては、女神さま達の好意で多少は延長できるそうだが、それでもそこまで長くないとの事だ。
 しかもこの世界と俺たちの元の世界は【時間的に断絶】しており、返されると俺たちがやってきた時刻と同じ所にもどされるらしい。

 つまり深夜の締め切り宿題提出当日に俺は呼び戻されるというわけである。
 そう考えると嫌な事は先延ばしたいような気がしないでもなく、けれど現状では女神さまから逃げたので延長は無いだろうと俺は思っている。
 ……ないよな?
 
 ふと浮かんだ疑問を俺は打ち消した。
 とりあえずはこれから俺は異世界スローライフをしなければならない。
 ハードな世界観とか経験は一切お断りなので、事前情報もある程度把握済みだ。

 出来る限り隠れてスローライフして、ゆっくりと好きな事をして過ごしたい。
 できれば可愛い女の子との出会いもあったらいいな、という気持ちはあるがそこまでは望まない。
 今の所そこまで切羽詰まった様子もないし、この世界で普通の魔法のある生活を経験してみたい。

 考えている内にひょっとして俺はかなり贅沢を望んでいるのではという気がしないでもなかったが、

「最低ラインは決めておかないとな。何が悲しくて大変な思いをしなくてはいけないんだ」

 そう俺は一人呟いて頷き、馬車からそっと顔を出して周りを見回す。
 馬車には車のようなバックミラーはついていないので、後ろの様子はすぐには見えない。
 目的としていた山の大きさなどから、そろそろ飛び降りるのにちょうどいい場所に来たと推測する。

 ここより先は大きな街道が二つ交差し、町が出来ている。
 そこからも周辺には街道以外にも幾つもの道が交わっていて、その大きな街道を迂回して別の街に行くことの出来る道もある。
 因みに俺の目的はその道でもあったりするのだが、

「ここの街道が重なる町は、まだ【近い】からな。もう少し遠くまで行きたい」

 そう呟きながら周りに馬車旅人などがいないのを確認し、音を立てずにそっと飛び降りた。
 体を軽くする靴といったものを事前に作っておいてよかった気がする。
 というかこういう使い方が出来るのであれば、歩い程度の後方支援は出来たのではという気がしないでもない。

 自分の能力の延長と魔法に興味があったので幾つか見て見たが、それがこういった使い道があったとは。

「何事も興味を持って触ってみないと思いつかないな」

 と俺は思った。
 ちなみにこの応用を思いついたというのも、逃げ出す切っ掛けになった気もする。
 そう思いながら先ほどの、こっそり乗せてもらっていた馬車を見送って見えなくなってから、

「じゃあゆっくり歩いて、まずはその街道の交差する町まで行ってみるか」

 と俺は呟き歩き出したところで、馬車が今いるである所周辺で大きな音が聞こえた。

「何事ですか!」

 驚いてそちらの方を見ると、大きな火柱が上がっているのが見えたのだった。

 
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