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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその三十二

「ベトナムでフィガロの結婚を聴いたな」
「はい、あの歌劇ですね」
「そのモーツァルトの代表作の一つでしたね」
「序曲で最初軽やかにはじまってだ」
 そしてというのだ。
「一息ついてな」
「そしてでしたね」
「一気にでしたね」
「楽器を一斉に使わせた」 
 フィガロの結婚序曲、この名曲の宝庫と言われる歌劇の中でも傑作中の傑作と言われているその作品の最初の名曲である序曲もだったのだ。
「そして名曲にしていたな」
「あの序曲も」
「そうでしたね」
「楽器と兵器は同じだ」
 その両者はというのだ。
「使うべき時がある」
「それぞれの兵器で」
「それは確かにありますね」
「あの兵器も同じだ」
 切り札になるそれもというのだ。
「使うべき時がある」
「そしてその時に使い」
「勝ちますね」
「そうする、では今は退こう」 
 シャハラザードも反転した、もう他の艦艇も同じだ。ティムール軍だけでなくオムダーマン軍も戦場から離れようとしている。
 その中でだ、シャイターンは弟達に言うのだった。
「次の会戦の為にな」
「そして勝利の為に」
「まさにその為に」
「そうしよう」
 こう言って退く、そしてだった。
 退くその中でだ、シャイターンは当直の将兵達以外に休養を摂る様に命じた。そして彼自身もだった。
 休養に入る、そこでだった。
 彼はまずは風呂に入り食事の用意をさせた、まずは身体を軽く洗ってそうしてだった。そこからサウナに入るが。
 サウナに入りつつだ、彼は護衛として共にいる彼等に言った。
「貴官達も入っているがな」
「はい、サウナに」
「護衛として」
「サウナはいいものだ」
 それはというのだ。
「こうして汗を流すとな」
「それで、ですね」
「身体の中の老廃物が出て」
「そして身体の疲れも取れる」
「だからいいのですね」
「そうだ、サウナに入り水風呂にも入り」
 そしてというのだ、シャイターンは今は下半身に長いタオルを巻き上半身は裸である。その身体は体毛は奇麗に剃られていて引き締まった身体をしている。腹筋も六つに分かれていて実に逞しい感じだ。
「そうして湯舟にも入りだ」
「汗を流し」
「疲れも癒す」
「そうされますね」
「今は」
「そして酒とだ」
 それに加えてだった。
「馳走も楽しみな」
「そしてですね」
「それからは」
「寝る」
 酒と馳走を楽しんだ後はというのだ。
「ゆっくりとな」
「そうされますね」
「そうして戦いの疲れを取られますね」
「その様にされますね」
「英気を養う」
 その様にするというのだ。
「酒も英気も養ってな」
「はい、そして」
「次こそはですね」
「戦いに勝たれますね」
「そうされますね」
「その為にも今はだ」 
 まさにというのだ。 
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