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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその三十一

「まるで列車で物資を送る様に」
「的確に送っていますね」
「あれはモルトケか」
 シャイターンはかつてプロイセンそしてドイツ帝国で名を馳せた参謀総長の名を挙げた、大モルトケと甥の小モルトケがいるがこれは叔父の大モルトケのことだ。
「列車を使ってだ」
「戦場に物資を送っていましたね」
「的確かつ確実に」
「整えられてあった航路で補給艦隊を迅速に送る」
 それも次から次にだ。
「そうするとだ」
「まさにですね」
「あの様に的確に送れますね」
「そして充分な補給を送られて」
「その分有利に戦えますね」
「あれは見事だ、モルトケが何故優秀だったか」
 ドイツ帝国建国の英雄の一人とまで讃えられるまでだったかというのだ、この名前はこの時代でも生きている。
「それは戦略や自薦の準備に加えてだ」
「列車、鉄道の有効利用ですね」
「それでしたね」
「列車は馬よりも速かった」
 それこそ石炭を燃料として馬なぞ問題にならない位の速さで進んでいた。
「そして昼も夜もだ」
「走ろうと思えば走られる」
「それも可能ですね」
「そして送られる物資も多い」
 ただ部隊が移動するよりもだ。
「そう考えるとだ」
「まさにですね」
「あの時プロイセン軍が連戦連勝出来たのは鉄銅のお陰ですね」
「線路を伝い迅速かつ大量に人員も物資も送られた」
「だからこそでしたね」
「プロイセン軍は勝てた、確かにプロイセン軍は精強かつだ」
 それだけにというのだ。
「指揮官も優れていたし戦術も練られていた」
「そして戦略もですね」
「確かにありましたね」
「全てが整っていた」
 それを整えていたのが宰相のビスマルクだった、鉄血宰相と言われていたこの人物はドイツを統一しプロイセンを軸とした帝国を築きそれからどうしていくかまでを既に考えて政治だけでなく戦略を立てていたのだ。
「そしてそこにだ」
「鉄道ですね」
「その力を使いましたね」
「そう考えるとな、オムダーマン軍もだ」
 彼等もというのだ。
「そのモルトケの様にだ」
「補給態勢を整えていて」
「そしてですね」
「あの様に物資を送っている」
「迅速かつ的確に」
「そうだ、それでは我々の移動基地もだ」
 この戦争に勝つ切り札と考えていたそれもだ。
「役に立っているが」
「切り札とはなり得ないですね」
「残念ながら」
「ではあれを切り札に使う、次の会戦では持って来る」
 戦場にというのだ。
「そしてだ」
「会戦の時は」
「次のその時は」
「狙うべき時にだ」
 まさにその時にというのだ。
「一斉に使いそしてだ」
「戦局を決め」
「一斉に勝ちますね」
「そうする、モーツァルトもオーケストラで楽器を一斉に使う時はここぞという時にそうしていたからな」
 モーツァルトは実はサハラではあまり聴かれていない、というかクラシック自体がサハラではあまりない。エウロパそして連合ではこの時代も主流の音楽の一つだがサハラはサハラの音楽があるのだ。 
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