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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその十九

「優雅に音楽が聴こえる中でフルコースを食べる」
「それもですね」
「彼等から見れば贅沢」
「その様ですね」
「そうだな、しかしこれはだ」
 そうした食事はというのだ。
「我々の伝統の一つだ」
「はい、まさに」
「そうしたものですね」
「我々にとっては」
「艦内の食事です」
「士官の食事だ」
 それだというのだ。
「士官ならばだ」
「こうして優雅な落ち着いた部屋で食事を摂る」
「士官が一同に会して」
「一品一品食べていく」
「そうしたものですね」
「従兵達に用意してもらってな」
 その食事やそれに関わるものをというのだ。
「そうして最後まで食べるものだ、そして暮らし全体もな」
「エウロパのですね」
「それもですね」
「優雅であるべきだ、少なくとも貴族はな」
 彼等はというのだ、この准将にしても実は騎士の階級にある。
「優雅で落ち着きのある暮らしを送るべきだ」
「全くです」
「そうでなくては貴族でありません」
「余裕がありその中で暮らす」
「そうした暮らしでなければ」
 他の士官達も貴族なので言う、今この場に平民出身の士官はいない。いても功績を挙げて騎士なりの階級を得た者達だ。
「とてもです」
「貴族とは言えません」
「それでどうしてでしょうか」
「贅沢と言えるのか」
「贅沢とは何か」
 准将は他の士官達に問うた。
「それはものや財産があることか」
「見事な屋敷に住み」
「よい食事を楽しむ」
「身の回りのものもいい」
「そうした暮らしなのか」
「違うのではないか」
 こう言うのだった。
「本来の贅沢はな」
「サハラの者達はです」
 少佐の階級にある者が言ってきた。
「先に挙げた様な暮らしがです」
「贅沢と考えているな」
「その様ですね」
「サハラにはそれだけのものがないからか」
「正直我々から見れば」
 全体としたサハラがだ。
「非常にです」
「貧しいな」
「はい、そしてそれはです」
「否定出来ない事実か」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「サハラの方もです」
「そう言っているか」
「我々の暮らしが贅沢と」
「そういうことか」
「はい、しかしです」
「贅沢はそうしたものではないな」
「富とは。本来の贅沢は」
 それはというと。
「余裕がありそれに溺れるのではなく」
「楽しんでいるものか」
「それが真の贅沢ではないでしょうか」
「では我々はだな」
「はい、真の贅沢の中にあり」
「そうした意味では贅沢だな」
「しかしサハラが言う贅沢は」 
 それはというと。 
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