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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-

作者:地水
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第2話:世界のハカイシャ

 
前書き
 ディケイドの登場に何が起きるのか。
二つの世界を渡る者が出会った時、何が起きるのか。
その先の出来事は、まだ誰にもわからない。 

 
 突如現れた、ディケイドの登場。
その場にいた小狼達四人は彼の登場に驚いた。

「なんだありゃ……?」

「仮面ライダー?聞いたことない」

灰色の怪人――オルフェノクと切り結ぶ黒鋼と、手元にあった棍棒でステンドグラス状の模様を持つ怪人――ファンガイアの攻撃をいなすファイはディケイドの姿を見る。
今までもいろんな世界をたびしてきたつもりだったが、自らの姿を変えて戦う人物は初めて出会った。
経験したことのない未知の存在に遭遇した事に関心を受けていた。

「とりあえず、こいつらをなんとかしないといけないよね」

「チッ、仕方がない……まずはこいつらを片付けるぞ!そのあとで敵かどうか決める!」

「黒さま好戦的ぃ~」

「うるせぇ、お前ごとぶった切るぞ!」

茶化すファイに対して黒鋼は蒼氷を勢いよく振り被って、剣戟を飛ばした。
ファイが下へ屈み、剣戟は近くにいたオルフェノクとファンガイアへ飛んで行き、そのまま吹き飛ばされてしまう。

一方、士が変身したディケイドはゆっくりと小狼達がいる方向へ歩みだして向かっていく。
悠々と向かってくるディケイドに対して、それを見た尚樹が他の怪人達に指示を出して襲い掛からせた。
鮫を彷彿とさせるアクアクラスのファンガイア『シャークファンガイア』の鋭くとがった爪がディケイドへ振りかざされようとしている。

「ふん、邪魔だ」

『ぐぎゃっ!?』

身体を軽くひねって躱したディケイドがお見舞いと言わんばかりに拳を突き出す。殴り飛ばされたシャークファンガイアはなすすべなく地面へ倒れこむ。
続いて襲い掛かってきたキリンの特性を持ったオルフェノク『ジラフオルフェノク』が飛び掛かる。それをタイミングよく蹴り上げ、近くの壁まで吹き飛ばした。
二体の怪人をいなしたディケイドは、本型アイテム・ライドブッカーを取り出し、開いてその中から一枚のライダーカードを取り出す。

「まずはこいつでいくか」

【KAMEN-RIDE…RYUKI!】

「変身」

変身した時の手順と同じ手順でカードを装填、その姿を変えていく。
いくつもの鏡像がオーバーラップし、ディケイドの体に重なり合う。
そこには真紅のボディに黒と銀のアーマーを身に着けた龍の戦士が立っていた。
ディケイドは鏡の中の龍騎士(ドラゴンナイト)・龍騎へ変わると、手元に柳葉刀に似た剣型武器・ドラグセイバーを取り出すとそれを使い怪人達へ斬りかかる。

「ハァ!!」

『ぐぎゃぁ!?』

「まだまだいくぜ」

【ATTACK-RIDE…STRIKE-VENT!】

D龍騎は一枚のカードをディケイドライバーに装填、カードの効果を発動させる。
龍の頭を模した手甲・ドラグクローを右手に装着させると、目の前の二体の怪人目掛けてドラグクローを突き出した。
ドラグクローの口部分から放たれた火炎放射が怪人達の周囲一帯を火の海へと変えていく。
高熱に苦しみ身動きが取れないシャークファンガイアとジラフオルフェノクへ対し、D龍騎は新しいライダーカードを取り出し、追い打ちをかける。

「次はこいつだ」

【KAMEN-RIDE…HIBIKI!】

新しいカードを装填した後、今度は紫の炎に身を包んでいく。
やがて炎が全身を覆いつくすと、勢いよく腕で振り払うと、そこには紫の筋骨隆々の肉体に赤い縁取りが特徴的なのっぺりとした仮面が特徴とした二本角の鬼の戦士の姿があった。
音撃の戦鬼・響鬼となったD響鬼は、強靭な身体能力で怪人達がいる炎へ突っ込んでいき、両拳で殴り掛かる。

「どりゃあああ!!」

「「がっ!?」」

「おいおい、まだまだ熱いバトルはこれからだぞ!」

【ATTACK-RIDE…ONIBI!】

蹴りや拳を入れた後に、D響鬼の口から炎・鬼火が放たれる。
噴き出した鬼火は二体を文字通り火達磨にしていく。
火炎地獄と化した周囲をD響鬼は抜け出すと、すぐさま新しいカードを装填、三度その姿を変えていく。

【KAMEN-RIDE…KIVA!】

ベルトを中心として波紋が響き渡り、全身を銀色が包み込む。
やがて銀色が砕け散ると、その中から蝙蝠の形を模した金色の複眼に漆黒の痩躯と真紅の鎧に身にまとった姿が現れる。
次は吸血鬼の王・キバとなったDキバは次なるカードをドライバー差し込む。

「トドメと行こうか」

【FINAL-ATTCAK-RIDE…KI-KI-KI-KIVA!】

Dキバの右足に拘束された拘束具・ヘルズゲート
が展開し、真紅の姿を現す。
そして右足を大きく振り上げ、そのまま左足で地面を蹴り上げて空高く跳躍。
そこから昼間に浮かぶ満月を背に、二体の怪人目掛けて急降下していく。

「ハァァァァ……ハァ!!」

『『があああああああ!!!?』』

怪人二体を纏めて必殺の蹴りを叩き込むDキバ。
キバの必殺技『ダークネスムーンブレイク』が炸裂し、流れ込んでくるエネルギーと叩き込まれた一撃の威力に爆発。
爆炎の後にオルフェノク特有の灰になった身体と、ファンガイアの砕けた残骸を残して、元の姿になったディケイドが姿を現す。

「ま、こんなものか」

手を払いながら自身が倒した怪人達を見ながら、そうつぶやくディケイド。
それを見ていた小狼は、驚きと感心の表情をしていた。

「スゴイ、あの怪物達を一瞬で」

「すっごーい!仮面ライダーって強いんだね!」

「仮面……ライダー?」

小狼の肩に乗っていたモコナがはしゃぎながらディケイドを見てそう言った。
聞きなれない単語に首を傾げつつ、サクラを庇いながら戦況を見ていた。

一方、手下の怪人達が倒されるその様子を見たゴースト…通称『ゴーストイマジン』が怒鳴りながらブチギレる。

『なにやってんだ貴様ら!相手はたかがライダー一人だぞっ!』

「俺は何人だろうが構わないぜ?五人でも十人でもかかってこい」

『ちっ、偉そうにしやがって!』

「何ならお前でもいいぜ?ほら、掛かって来いよ」

両手を広げ挑発をしかけてくるディケイドを見て、地団駄を踏むゴーストイマジン。
その声には苛立ちが募っており、大剣を振り上げて攻撃しようとする。

『そうかよ、そんなに死にたきゃ殺してやる』

「――落ち着け、ゴースト。アイツ、例の報告されていた【アイツ】じゃねえのか?」

『あん?【アイツ】だぁ?』

一歩踏み出そうとしたところで尚樹がゴーストイマジンを制止させ、【アイツ】なる言葉を伝える。
それを聞いてギロリと見やるゴーストイマジンは、ディケイド達を他所に尚樹へと向き直る。

『まさか、コイツが正体だってのか!?』

「少なくともコイツらが放っておけない対象なのは間違いない……潰すんだったら今だ」

『なんだよ分かってるじゃねえか。流石俺の契約者だ』

尚樹の同意の言葉を聞いて上機嫌になるゴーストイマジン。
それをニヤリと口角を上げた尚樹は懐に手を入れあるものを取り出そうとする。

「行くぞ、通りすがりの。全員纏めて消してやる」

(……!?まだ何か仕掛けてくるのか)

「ほう……」

次の手が残されている事に驚く小狼と、どんなものか見てみたいディケイド。
ファイや黒鋼といった一同を含めた周囲の人達が緊張感に包まれる中、尚樹とゴーストは動こうとする……。

だが、突如して聞こえてきた『声』にそれは中断された。

『―――何をしている尚樹。お前の目的は調査のはずだろう』

「チッ、スコルピオ!邪魔するんじゃねえ!!」

「……!あいつ、何処から!!」

突然現れた存在に対して、ユウスケが第一声を上げる。
そこには、両腕のクローと尻尾のような鋭い針がついた辮髪が特徴の銀色の蠍の怪人だった。
『スコルピオ』と呼ばれた蠍の怪人はディケイドと小狼達、双方の一同を一瞥すると再び尚樹とゴーストイマジンへ向けて口を開く。

『様子を来てみれば、このあり様とはな』

『なんだ?文句でもあるのか?』

『今は引け。今は落とされてはたまったものではない』

「チッ!?俺達があんな奴らにやられるとでも!?」

スコルピオの言葉に反発する尚樹とゴースト。
だが、クローの刃と辮髪の針を同時に向けられて二人は黙る。

『驕るなよ。他人の度量を見切れずに【世界の破壊者】と戦えるなど努々思うな』

「グッ!!わかったよ、くそが!!」

苦虫を噛みしめた様な顔で尚樹は了承をする。
そこへやれやれといった表情でディケイドが割り込んでくる。

「おい、仲間内で揉めている所悪いが、逃がすとでも思ってるのか」

『逃がしてもらわなければ困る……ハァ!!』

スコルピオは剣戟を飛ばし、ディケイドへと襲い掛かる。
その攻撃を避けたディケイドも負けじとライドブッカーをガンモードに変形させ、銃撃を浴びせる。
スコルピオに迫る銃撃……しかし、突如としてその姿は消える。
いやそれだけではない、いつのまにか尚樹なる男の姿もゴーストイマジンの姿も消えている。
驚くディケイドは、先程の突如出現した怪人の『種明かし』に察しがついた。

「なにっ!?今のはまさか……クロックアップか?」

クロックアップ……地球外生命体"ワーム"が有する高速行動能力であり、目に見えないほどの速さで動く事が出来る。
銀色の蠍怪人……言うなれば"スコルピオワーム"は、クロックアップによって目の前に現れており、恐らく尚樹達も引き連れてこの場を戦線離脱したのだと推測される。
現に、他のオルフェノクやファンガイアも尚樹の姿がなくなると同時に、黒鋼達の相手をやめて去って行く。
怪人達がいなくなった今、変身を解いた士は溜息を付く。

「やれやれ、行きつく暇もないな」

「おい士。大丈夫か?怪我は」

「大丈夫だ。見ての通りだ。それよりもユウスケ、他に気にすることはないだろうな」

「えっ…?」

駆け寄ってきたユウスケに対し、士はある方向を指出した。
そこには一人の少年に心配そうに訊ねる少女……小狼とサクラの姿があった。
顔を見合わせた士とユウスケは、とりあえず小狼とサクラの元へ向かった。

「小狼君、大丈夫?」

「はい、大丈夫です。おれは何ともないですよ」

「おーい、そこの君達。大丈夫かー?」

「よく頑張ったな少年少女。怪人達を倒し、助けに入った俺に感謝しろ」

持ち前の人懐っこい笑顔を向けるユウスケと、自分が活躍したといわんばかりに主張する士。
そんな彼らに対し、小狼が頭を下げてこういった。

「ありがとうございます。見知らぬおれ達を助けてくれて」

「お、おう……分かればいい」

「なんだよ士、照れてるのか?この子の素直さに照れてるのか?」

「うっさいなお前は黙ってろ」

小狼の実直な感謝の言葉に返されて、呆気にとられる士。それを茶化すユウスケを額にデコピンを食らわせた。
その隣では夏海が黒鋼とファイへ近づいていき、何者なのか伺っていた。

「あの、つかぬ事お聞きしますがあなた達は一体?何で怪人達に?」

「オレ達、旅の人達でしてー。この国ついていきなりあの人たちに襲われちゃって」

「チッ、あいつら斬りにくいったらありゃしねえ。こりゃ一筋縄じゃいかないな」

夏海の質問にファイが答え、黒鋼は怪人達を切れなかった事を舌打ちをする。
刀……?と、黒鋼の帯刀している蒼氷を見てこれで怪人達に立ち向かっていったのかと首をかしげながら夏海は次の質問をする。

「ところで皆さん随分と変わった恰好ですが、外国人なのですか」

「あはははー黒りん変わった格好だってー」

「お前もそうだろう……あん?このやりとり何処かでやったような」

「……?」

服装の指摘にファイと黒鋼はかつての"ナユタヤ国"にてやったやりとりを行い、夏海は首をかしげる。
士はそれを横目に、小狼の姿を見ながらこう言った。

「大体わかった。とりあえずお前達がこの国の住人じゃないな」

「……はい、そうですね」

「お互い様だな、俺らもお前らもこの世界に……この国に来たばかりだ」

「え、そうなんですか?」

士の言葉にサクラが驚きの声を上げる。偶然にも次元を超えて旅をしている人達が目の前にいたことにいるとは思ってもみなかった。
彼の言葉に助長するようにユウスケも言葉を紡ぐ。

「そうそう、俺達もいろんなところ旅してるんだよね」

「なんだか奇遇だねぇー。実はオレ達も色んな世界旅してるんだよね」

「そうなんですか……え!?」

ファイの言葉に夏海は驚く。まさか同じく世界を超えて旅をしている人達がいるとは思ってもみなかった。
そんな中、黒鋼は先程のディケイドの姿を思い出しながら士を見ながら尋ねる。

「ところでテメェ何モンなんだ?あの姿はなんだ?」

「相手の名前を知るには自分から名乗るのが礼儀だがまあいい……知りたければ教えてやる」

そう言うと小狼達から数歩離れる。
士は自らの名前名乗り上げる。


「門矢士、仮面ライダーディケイドだ」


こうして世界を巡る旅を続ける一行と記憶の羽根を求める一行の邂逅が行われた。
この世界での彼らの物語はここから始まる。


「……あれが、ディケイド」


彼ら7人の会話を聞いていた者がいると知らずに。

 
 

 
後書き
 どーも地水です、執筆スペースと投稿スペース模索中です。
劇中でも名前を取り上げた国のナユタヤ国。実は原作漫画とアニメでは名称が違っており原作漫画では高麗国(こりょこく)ですが、アニメ版だとナユタヤ国です。

まあそんなこんなで、2回目ですが現状の組織把握です。

・小狼一行
小狼、サクラ、ファイ、黒鋼、モコナ

・ディケイド
士、夏海、ユウスケ、栄次郎

・第三勢力
尚樹、ゴーストイマジン、スコルピオワーム

・不明
海東、鳴滝

現状、こんな感じです。小狼と士たちの敵になるのは一体誰か?
海東と鳴滝はいつ仕掛けるのか?

次回は『この世界』についてのお話。

 
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