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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその十

「彼等は出来ている、訓練をしてこそか」
「あれだけの戦意を保てる」
「そういうことになりますか」
「指揮官の采配と統率だけでなく」
「それもあって」
「そうだろう、どうもだ」
 そのステーキを切りつつの言葉だ。
「特に麻薬の類は使っていない」
「戦闘に際して」
「両軍共ですね」
「戦意を高揚させる薬物は使用していない」
「そのことも間違いないですね」
「その様だ、薬物を使用してはだ」
 フォークとナイフで切った肉を口の中に入れて食べつつだ、准将は言った。レアで焼かれた肉から実に良質の肉汁が出ていてその味も楽しんでいる。
「あそこまでの統率はな」
「かえってですね」
「出来ませんね」
「精神が高揚し過ぎてです」
「あそこまでの統率は出来ないですね」
「だから余計に凄い」
 まさにと言うのだった。
「両軍共な、休息や睡眠もな」
「摂っていてもですね」
「それでもですね」
「酸素タンクやレーションで」
「それを何日もですね」
「それも訓練や統率があってか。あれではだ」
 ここで准将が出したものはというと。
「二十世紀のドイツ軍以上だ」
「当時のドイツ軍は相当でしたね」
「どれだけ損害が出ても臆しませんでした」
「戦場が過酷であっても」
「そして戦闘が長期化しても」
「ドイツ軍の将帥達は優秀だった」
 このことはドイツ軍、ここではドイツ第二帝国の士官学校での教育が素晴らしかったせいだと言われている。その時代に育てられた者達が二次大戦のドイツ軍の将帥達となり戦場に出て指揮を執って「非常にな、しかもな」
「それにですね」
「ヒトラーもいました」
「あの人物が」
「ヒトラーの統率力は恐ろしいものだった」
 連合ではこの時代でも悪の権化とされている、しかし恐ろしいまでの能力があったことは事実である。
「それこそ国家の全てをだ」
「統率してですね」
「そうしてでしたね」
「軍も乱れさせなかった」
「士気も衰えさせなかったですね」
「そうだった」
 まさにというのだ。
「だからこそあそこまで戦えた」
「そしてオムダーマンとサハラは」
「それぞれの国家元首ですね」
「アッディーン大統領とシャイターン主席」
「彼等の統率力ですね」
「それがあってですね」
「しかも彼等は戦場に立っている」
 現在進行形でというのだ。
「だからな」
「両軍の士気は衰えていないですね」
「その統率を受けているので」
「だからですね」
「それ故に」
「そうだ、二人の統率とこれまでの訓練だ」
 この二つがあってというのだ。
「あの様に戦えているのだ」
「そうなりますね」
「オムダーマンとティムールも」
「損害が多くなっていますが」
「日数も常識外ですが」
「あれはかなりだ」
 まさにと言った准将だった。 
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