| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

『狭間の世界』

作者:零那
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

『ふたつの月』



生まれたての儚い命。
ゆらゆら揺れる命の塊。
指先で潰せるちっぽけな命。

そぉっと護ってるかの如く優しく微笑む水面の月。

穢くなって生きる価値の無い僕には、鋭く刺すかの如く冷たい昊の月。

常に睨まれてるように感じる。
あの日から太陽も月も星も...変わってしまった。

勝手に、どんな時も変わらず見守ってくれてると思ってた。
味方が居ないから、そう思うことでしか生きれなかった。

自然だけが味方だと思ってたけど、違った。
味方なんてのは存在しない。
感情を持たないものですら味方にはならない。

いつもの海。
水面で揺らぐ月は僕を罵る。
昊で蒼白く耀く月は僕の心臓を抉り出そうとする。

いつも味方だったふたつの月は、私に追い撃ちをかけた。

中身の違う僕が今の僕を壊したんだ。
そして僕は生まれ変わった。
イタミを何も感じない僕に。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧