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八条学園騒動記

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第六百四話 マウリアの推理その二

「そうなるわ」
「そういうことだね」
「ううん、確かにね」
 シッドは今自分の鼻に入って来た匂いからトムに言った、実際にその匂いが何よりの証拠だと思いながら。
「カリーの匂いがするね」
「僕も今したよ」 
 トムもこう答えた。
「実際にね」
「そうだよね」
「この匂いはね」
 まさにというのだ。
「カリーだよ」
「そうだよね」
「この匂いこそがね」
「マウリアだよね」
「本当にね、じゃあね」
「この匂いの中でだね」
「上映しているお部屋に行って」
 そのマウリア映画のだ。
「それでね」
「マウリアの推理映画をだね」
「実際に観ようね」
「それじゃあね」
 シッドは兄の言葉に頷いた、そうしてだった。
 三人で校舎の二階にある第二視聴覚室と札に書かれているその教室に入った。そこは四十人程が入られる教室だった。
 そこに入ってだ、三人で固まって座ったところでトムは言った。
「それじゃあ今から」
「マウリア映画ね」
「それを視るね」
「今からね」
 メアリーとシッドに答えた。
「そうしようね」
「あと五分で上映よ」
 メアリーは時間をチェックして言ってきた。
「はじまるわ」
「あと五分だね」
「そうよ」 
 こう従弟達に話した。
「もうすぐはじまるわ」
「じゃあ用意しておこうか」
「あの、何かね」
 シッドは周りを見回して言ってきた。
「観る人マウリアの人少ないね」
「ああ、そうだね」
 トムも自分達以外の人達を見た、教室に二十人程いるが。
 ターバンを巻いていたりサリーを着ている人は四人位だった、その他は皆連合の服装の者ばかりだった。
「連合の人が多いね」
「そうだよね」
「やっぱり皆ね」
「興味があるからだね」
「観たいと思って」
 それでというのだ。
「来ているんだね」
「そういうことだね」
「一体どんな映画か」
 具体的にというのだ。
「観たいんだよ」
「それでだね」
「皆来ているんだよ」
「僕達と同じ目的だね」
「上映時間は長いけれど」
「五時間よ」
 メアリーが言ってきた。
「終わったらね」
「お昼過ぎというか」
「今九時だから」
「二時になってるね」
「お昼はとっくにね」 
 それこそというのだ。
「過ぎていて」
「おやつの時間かな」
「それ位ね」
「カレー食べてよかったね」
 シッドが笑って言ってきた。 
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